旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

生誕110年 香月泰男展 練馬区立美術館 2022.3

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葉山の神奈川県立近代美術館で開催していた時に、日曜美術館のアートシーンで取り上げられていた『シベリア・シリーズ』に興味を持ちました。巡回に練馬区立美術館があったので、そちらで観ようと思っていて、また閉幕ギリギリでの鑑賞となってしまった。前期後期入れ替えがあったので『シベリア・シリーズ』全作品鑑賞とはならなかったけど、それでも、満足な鑑賞体験となりました。

ロビーのバナー、黒と白で印象的

『シベリア・シリーズ』は32点からなる香月泰男の代表作。1943年に召集、日本降伏後シベリアに送られ、1947年に復員するまでを余儀なくされた兵役と抑留体験を描いています。

思っていたのと違ったのは、『シベリア・シリーズ』をまとめて展示しているのではなく、初期から晩年まで制作順の展示構成になっていたこと。多くの作品の一部でありながら、こつこつと描かれ続けた『シベリア・シリーズ』がところどころに現れる。1973年の遺作も『〈渚〉ナホトカ』。戦争、シベリアでの過酷な体験がいつまでも画家の心の中に重く残っていたかということがよくわかります。

画家は、絵に説明はいらないものだけれど、伝えたいこともある、と『シベリア・シリーズ』のみ自筆の解説文が添えられていました。極寒の地、過酷な強制労働、死んでいく仲間たちと自分もいつそうなるかという死への恐怖…より鮮明に伝わってきます。

故郷と繋がっている夜空にきらめく星と、地上の有刺鉄線、希望と絶望をも対比させた『星〈有刺鉄線〉夏』が中でも印象に残った作品でした。

『絵具箱』はナホトカの船待収容所で絵具箱を枕に寝ている自画像。会場の最後にその、絵の具箱の展示がありました。母に買ってもらった絵具箱で、蓋の裏に作品の構想が書いてあって、なんでこんな人が戦争に行かなければならなかったのか、と平和の大切さを感じさせられます。

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画家の言葉

 

『シベリア・シリーズ』以外も素敵な作品はたくさん。70年代に入っての、初のヨーロッパ訪問でのフランスの風景画もよかった。

 

練馬区立美術館では終了、この後は足利市立美術館に2022年4月5日~5月29日で巡回です。