旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

知られざるスイスの画家 オットー・ネーベル展 シャガール、カンディンスキー、クレーの時代 Bunkamura ザ・ミュージアム 2017.12 

オットー・ネーベル、日本ではあまり知られていない画家ですね、日本初の回顧展だそうです。私も初めて観ました。

本展のキービジュアルにもなっている、『イタリアのカラーアトラス(色彩地図帳)』ネーベルが1931年にイタリアを旅した際にその景観を自身の視覚感覚によって色や形で表現した色彩の実験帳です。これって色見本帳だ、デザイナー的思考と言っていいのか、と思いましたが、画家でも漫画家でも、絵を描く人はこういうの自分なりに制作してるのかもしれないですね、完成された作品を観る鑑賞者が知らないだけで。

でも、それを作品として観るというのはおもしろいです。

経歴では、建築の勉強に俳優の修業に軍役に、といろいろな経歴を持っていて興味深い人です。

作品は細かい点描や線で、テクスチャを感じさせつつ、それらで作った色面の構成がとても美しかったりかわいらしかったりで、どれも好きだな〜と思いました。

以下テーマ毎に、気に入った作品です。

1.初期作品:

「アスコーナ・ロンコ」「庭師」「ロゾネから」「二枚のパレット」「避難民」

特に「避難民」親子の様子ですが、かわいらしい点描画の中に登場人物の視線の使い分け(行く方向を見る母、先頭に立ちつつ後方に気を配る父、の緊張感と対照的に安心しきった子ども)が印象に残りました。 

2.建築的景観:

一連の作品、特に「建築的な青」

3.大聖堂とカテドラル:

「煉瓦の大聖堂」

4.イタリアの色彩:

シエナⅢ」

6.「音楽的」作品:

一連の作品、特に「はっきりと」

7.抽象/非対象:

「幸福感」「予言」「朝早く」

8.ルーン文字の言葉と絵画:

「照らされて」

ルーン文字や、易経など、違う民族の文化に影響を受けるてのもいい。

 

後は、パウル・クレーとの友情が素敵でした。亡くなったクレーへの文章……

「私たちの道は、何度も仲良く並んで進んできた。すっかり重なり合うことはしかしまれだった。しかし、いつも私たちは曲線の交わりあう場所で、互いを理解しあうことができた……」ラブレターじゃん!

 

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