旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

篠田桃紅展 東京オペラシティアートギャラリー 2022.5

ー篠田桃紅は、70年を越える活動を通して、前衛書から墨による独自の抽象表現の領域を拓き、孤高の位置をまもりながら探究しつづけました。(展覧会公式webより)

昨年、107歳で亡くなった篠田桃紅没後初の回顧展。

篠田桃紅を知ったのは、ちょうど、100歳の時に上梓した本を書道の師匠に借りたのがきっかけだったので、8年前か。その後は、テレビ出演や著作など欠かさずチェックしていました。

作品はもちろん、その考え方や生き方も好きです。自分が現代書の作品を作りたいと思ったとき、今からできるかな?と逡巡してたのですが、とりあえずやってみよう、今が一番若いんだし、年に1つでも作れば10年やれば10作品できる、とかよくわからない自信を持てたのも、この方の影響があるかも。

この展覧会を知ったのは、4月入ってすぐで、ああ、オペラシティアートギャラリーの天井の高い空間にぴったり、楽しみだわ、と思ったのだけど、ちょうど自分が毎年出品している展覧会に出す作品を作っていた最中だったので、今、観に行ったら、影響を受けすぎるんじゃないか、とか自分はダメダメだなあと劣等感を刺激されちゃうんじゃないか、とか思って、5月GWに作品を仕上げてからやっと行ってきました。

行ってみて、それは杞憂だったと反省しました。素晴らしい作品に感動し、創作意欲を刺激されるしかなかった。

作品は年代を問わず並べられていて、同じ題材で、いくつも描かれている作品(『火』1954年、1981年、1988年、1991年など)が並べられていると、ひとつのテーマをずっと掘り下げていった作家の意欲が感じられました。

同じく題材が同じでも、並べられていた『音』2作品(ほぼ同じ年代に制作)は、片方にはメロディが感じられ、もう片方にはリズムや躍動感を感じて。同じ題材でも表現方法の違いを追求したのか、おもしろさがありました。

目に見えないものを墨で表現したいという気持ちが伝わってきて、これが創作意欲を刺激するなと(勝手に感じただけですが)やる気が出てきました。

版画作品もあって、実物を観たのは初めてだったかも。墨の表現を版画の偶然性に身を任せているのが潔くて好きだな、と思いました。書の表現も偶然性に任せることもあるから、似ているのかもしれない。

東京オペラシティアートギャラリーで6/22まで。書でもあり絵でもありもしかしたら彫刻ともいえるかも、な自由な表現、堪能できます。

 

昨年は横浜のそごう美術館でも展覧会があって、亡くなられてすぐの春でした。

こちらの展示は、ご本人の「作品タイトルで先入観を与えたくない」という意向で、作品にはキャプションがなく、まっさらな気持ちで作品の一つ一つと向き合うのが楽しかったです。(展示目録はあるので後からチェックしていろいろ考えるのも良きでした)

 

オペラシティアートギャラリーコレクション展にあった李禹煥。8月からの国立新美術館李禹煥展も楽しみ。