旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

もじイメージGraphic展 辺境のグラフィックデザイン 21_21 DESIGN SIGHT  瀬戸内のメルヘン 緑川洋一 フジフイルムスクエア 2024.2 

今年に入ってから、始まったらなるべく早めに行く、というのを心がけてて、今のところ順調なのですが、こちらは終了近くなってからの鑑賞となりました。

21_21は会期が長めなのでつい油断してしまう

文字に関してのグラフィックデザイン展だと従来は過去の大御所デザイナーが取り上げられるイメージがあるけれど、(今回ももちろんあるけれど、あくまで文字デザインの歴史という観点からでした、新鮮!……というか歳取ったんだな、自分、となります、若い人たちの反応がおもしろかった。そして90年代ももはや懐かしい……歳取ったんだな、自分)こちらはDTPやインターネット普及以降のグラフィックデザインの観点から文字デザインの役割を紐解いているので、さまざまな世代、国のデザイナーの作品が取り上げられています。

AD浅葉克己 言わずと知れた糸井重里の名コピー 背景の装飾は高野切などの名跡

若い人たちが「かっこいい〜」と呟いてたAD五十嵐威暢のポスター 心の中で「そうでしょう?」と頷いていましたさ!

 

ギャラリー1:日本語の文字とデザインをめぐる断章で、日本語の書記体系の歴史、文字を軸としたグラフィックデザインの作品を、ギャラリー2:辺境のグラフィックデザインで文字とイメージを統合して発展してきた日本語のグラフィック文化を、そして現代での動きをテーマに分けて紹介していきます。

祖父江慎+コズフィッシュ展ブックデザイ(2016年 日比谷図書館)でも観た祖父江さんの夏目漱石「こころ」についての解説と展示。漱石も装丁にこだわりのある人だったそう。

祖父江慎+コズフィッシュの装丁

大日本タイポ組合の作品は毎回その発想に唸る

思わず「懐かしい!」とうれしさが滲み出てしまったのはこちら。

FSP(化粧品)のパッケージとノベルティ

AD平林奈緒美FSP!使ってたなあ。かっこよくて。雑誌(確か装苑だったような)に袋閉じで広告が付いてた。今までにない化粧品の広告でとにかくかっこよかった。平林さんの資生堂のアートワークは大好きでした。

ポスターもイカす!

北川一成のアートワーク こちらも既成概念を破るというか、当時は強烈でした。

まだ金沢に移転前の国立近代美術館工芸館のポスター、これはおもしろかった。

懐かしがってばかりではいられず。作品は知っててもまとめて見たことなかったデザイナーや初めて見るデザイナーの作品がとてもおもしろい。

最近いいな〜と思う映画のアートワークはだいたいこの方、大島依提亜

大原大次郎の文字表現、平野甲賀のレタリングと石川九楊の書の理論を参照しているとのこと、なるほど。そしてすごい。

こんなパフォーマンスイベントもあったのね、探すのが楽しい。

2021年に水戸芸術館で見たピピロッティ・リスト

chiegon.hatenadiary.jp

こちらのアートワーク、すごくよかったので印象に残っていました。スタッフさんのTシャツ(たぶん非売品だけど)が欲しかった……。私が観に行ったときには、図録も品切れで物販はなかったし、コロナでチケットの半券もなかったけど、京都ではあったようですね、いいな〜うらやましい。

水戸芸術館のポスター

京都国立近代美術館のポスター

京都の方はこんなに凝った半券、かっこいい




デザインは岡﨑真理子 2024年の横浜トリエンナーレのビジュアルも担当で楽しみ

ところで、横浜トリエンナーレ、もう今月からと知ってびっくり。早いなあ。

海外の作品で印象に残ったもの。

Experimental Jetset オランダ

john Warwicker(Tomato) イギリス

M/M (paris) フランス

立体表現。

じゅうりょくモビール「文字」 大原大次郎

空中で重なり合うことで、言葉が生み出される、とキャプションにあったけど、影も含まれると思う。

サイン・看板 上堀内浩平 廣田碧(看太郎)


表現の流行り廃りはあれど、文字はデザインの要素としては不可欠で、こういうふうにテーマに沿って揃ってみられるのはおもしろいしありがたい。

見ているだけで、ああ、90年代、00年代……と、その空気感を思い出すということは、いかにデザインが時代を作る一端を背負っているか、ということだなあなどと感慨深く思いました。

帰りに同じミッドタウン内のフジフイルムスクエアへ

瀬戸内のメルヘン 緑川洋一

この写真、一度見たら頭から離れなくて。「光の魔術師」「色彩の魔術師」と呼ばれた日本を代表する緑川洋一の作品展。

カラーの作品もモノクロの作品も、とても不思議な写真でした。美しくてかわいくて、でもどこかセンチメンタルな感じもする。小規模な展示、でも創作ノートのコピーなどもあって、観てよかった。作品集とか手に入らないかなあ?もっと大規模な展覧会、開催されないだろうか?なんて思いながら帰りました。