間に最近の鑑賞も入りつつ、ぽちぽち記録していきます。
2019年
7月
日本・オーストリア外交樹立150周年記念
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
@国立新美術館
ウィーン分離派、ウィーン幻想派などの展覧会は今までもあったけど、これはウィーンという都市の歴史の、文化の、展覧会。充実していてどれも見応えがあり、最後まで観るのにとても時間がかかってしまった。
グッズがとてもよくて、普段は図録やポストカードくらいしか買わないのに、Tシャツや小物をいろいろ買い込んでしまいました。
金の星社創業100周年記念 金の船・金の星 子どもの本の100年展
@上野の森美術館
チケットをいただいたので行ってみた。
武井武雄が好きなので、『コドモノクニ』や『キンダーブック』『赤い鳥』などは知っていましたが『金の船』『金の星』は知らなかったかも。(調べたらこちらにも武井武雄は描いてますね)金の星社創業時から最近の絵本まで展示がありましたが、自分が子供の頃の年代でもあまり見た覚えがある本がなく、おそらく、通っていた幼稚園や地域性など環境によるのかもな、と思いながら観ました。唯一、『かわいそうなぞう』『ガラスのうさぎ』は知っていました。児童向けの戦争関連の作品が強みだったのでしょうか。特に『ガラスのうさぎ』は映画にもなっていたな、と一気に記憶が蘇りました。戦前の戦争賛美的な児童書の展示もあって興味深かったです。世相を映すよね。
メスキータ展
@東京ステーションギャラリー
日本初の回顧展。
初めて知ったメスキータだけどその作品には既視感があり、エッシャーの恩師というので納得。
エッシャーが命がけで守った画家、という強烈なフレーズは、第二次世界大戦中、ユダヤ人であるメスキータが強制収容所で家族共に殺され、それを知ったエッシャーら、教え子が急いで絵を隠して守ったことから。今、この作品たちを観ることができるのも、メスキータの存在を知ることができたのもそのおかげなのね。図録の装丁が素晴らしく、私が行ったときは生憎売り切れでしたが、注文して買えました。
8月
夏の瀬戸芸で高松に行ったときに、こちらにも足を運びました。
ナフタリンや塩を素材に「変わりながらも存在し続ける世界」を表現する現代アーティスト。2017年のこちらでも。
これら、代表的な作風の作品以外にも、讃岐名石「サヌカイト」を素材とする新作インスタレーションがあって、自分で叩いて音を出せることができました。
国立西洋美術館開館60周年記念
松方コレクション展
@国立西洋美術館
モネの幻の睡蓮『睡蓮、柳の反映』の修復作品が観れるということで。写真はデジタル復元したもの、実際は上半分はほぼ失われています。最後の部屋にありました。
松方さんすごいね〜豪儀だわ、なんて思ったり。作品だけでなく、当時のヨーロッパへの書簡などの資料も多く、充実したまさにコレクションでした。
日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
@国立西洋美術館
松方コレクションと同会期に新館展示室にて。
美術の歴史を紐解けば、現れるのは男性ばかり。その活動が知られている女性は一握りで、それも苦労や悲劇的な結末が多く、さらにはそれが映画の題材になっていたり、カミーユ・クローデルとか。なので、フィンランドで女性が平等に美術学校に通い芸術家として活躍してたことが知れたのはとてもうれしかった。
MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク
@埼玉県立近代美術館
資生堂のトップヘアメイクアップアーティストの展覧会という珍しい?新しい?企画に興味を持ったので行ってみた。
『この展覧会は、今注目のヘアメイクアップアーティスト・計良宏文(けら・ひろふみ)の仕事を通して、ヘアメイクの現在と可能性を新たな視点からとらえるものです。』(公式サイトより)
アイドルやアーティストの衣装など、尖った(という表現もちょっと使い古されていて自分でもどうかと思うけど)作品も面白かったけど、
伝統とコラボした表現の、そこからわかる実力とセンスの確かさよ。
ジャンルを超えた写真家・華道家の勅使河原城一、人形遣い・勘緑とのコラボレーションが素敵でした。
高橋秀+藤田桜 素敵なふたり
@世田谷美術館
日曜美術館を見て、興味を持ちました。世田谷美術館に行くのは初めて。行きのバスがちょうど乗れたのだけど結構混んでて、美術館も混んでて、人気あるのね〜と思ってたらおふたりを招いての講演会があったのでした。そりゃ混むわ。整理券配布終わってたので残念ながら参加はできず、じっくり展覧会を楽しみました。おふたり独自の世界と、仲睦まじい関係がわかる展示になっていておもしろかった。秀さんの作品は無機質なのに官能的、桜さんの作品は可愛らしさの中にキリッとした威厳みたいのがある、と感じました。
帰りはバスも混むだろうしと歩いてみたら、素敵な散歩道でした。公園の中の美術館って好きだなあ。
オサムグッズ、最近また人気がでてきてますね。
原田治といえば、昔ミスドでドーナツ食べながらトレーの紙読んでたらインタビューが載ってて「絵が上手くなるには?」って質問に「素質がないと無理です」って言い切ってたのが印象的。
「わ〜可愛い!今でも通用する〜」とはしゃぐ若い層と私含めひたすら懐かしむ世代の層と、が2大客層でした。大和銀行の通帳、持ってたな〜ってしみじみする私の後ろで「やまとぎんこう?かっわいい♡」って聞こえたもん。(正解はだいわぎんこうです)
オサムグッズだけでなく、装丁や雑誌記事、執筆など全仕事の集大成でした、おもしろかった。
真剣に探してしまうくらいの量…。懐かしさでいっぱい。
コレクション展の「仁木悦子の肖像」もよかったです。
ジュリアン・オピー
@東京オペラシティアートギャラリー
なんか、見覚えがある!と考えたら、瀬戸芸の高松で作品を見ていました。
親しみある、再会気分♪とか思ってたら、予想以上に大きい作品とか風景とか、知らない世界に触れて新鮮でした。
シンプルな線なのに、それぞれ個がある、とわかるのがすごい。シンプルだからこそなのか?とにかくおもしろかったです。
マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
@三菱一号館美術館
聞いたことのない名前…だけどメインビジュアルのドレスに惹かれ、ファッションデザイナーなのかな?お洋服の展覧会いいよね、美術館の雰囲気にも合ってるかも、などと思いながら足を運びました。平日夜にレディースデーになってた、こちらの美術館はいろいろ工夫割をするので楽しいですね。
確かに、ファッションデザイナーではあるのだけど、あらゆる才能に恵まれた人で、絵、版画、写真、オペラの舞台芸術等々に名作を残していることに驚きました。ポスターにもなってたデルフォスというドレスはどれも美しく、柔らかいのだろうな〜とその手触りを想像しながら観ていました。
10月
塩田千春展:魂がふるえる
@森美術館
糸を使った大掛かりなインスタレーションや映像作品も、もちろんよかったけれど、
初期の(なのかな?)エッチングや素描が好きでした。後に続く作品にも通ずる生命力のようなものを感じました。
11月
不思議の国のアリス展
@そごう美術館
アリスは大好きで、子供の頃読んでた、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』はまだ手元に大切に持っています。そこに描かれていた、ジョン・テニエルの原画が観れる!とわくわくしながら行ってきました。うれしい出会いだ、感動しました。
他にも、アリスをモチーフにしたアーティストの作品がたくさん展示してあって、やっぱりみんなインスピレーションを掻き立てられるのね、とうれしくなりました。
12月
田中未知プレゼンツ 寺山修司贋絵葉書展
@Kanzan Gallery
寺山修司、好きなのだけど、贋絵葉書というものを作っていたのは知らなかった。やはり独特の感性を持っている人ですね。
宛先も、送信元も、内容も本当なのか嘘なのか?(いや、贋だから嘘なんだろうけど)そんなの本当のことは誰も知らない、そんなへんてこな世界を覗き見られておもしろい。寺山関連の掲載のある古い雑誌が資料で公開されていたのでじっくり読みました。
絵葉書に残された万年筆の筆跡が美しかった。
かわいい同僚さんに「きっとchiegonさん、好きですよ、行ってみてください」とおすすめされた。大好きな日比谷図書文化館。
アール・デコは好きで、家具やポスターの展覧会は行くけれど、造本芸術というのは初めてです。
昔は、本は購入してから自分で製本に出していたのですね。その工程は詳しく説明があって勉強になりました。
アール・デコ四天王と言われる、バルビエ、マルティ、マルタン、ルパップ、のデザインとイラストレーション、私はマルタンが特に好きでした。
カミーユ アンロ 蛇を踏む
@東京オペラシティアートギャラリー
これも日曜美術館で見たのかな?会期ギリギリだったから。
草月流のいけばなに触発され、2011年から継続的に制作されているシリーズ。花の展示、という新鮮さに惹かれました。
『蛇を踏む』は川上弘美の小説だけど、その通り、作品はそれぞれ一冊の本に由来していて、題名や著者、花材名、本の一節が作品とともに展示されてます。
他に、インスタレーション、ドローイング、映像作品も、見応えがありました。
松方コレクションがよかったので、こういう、パトロンが収集した系もおもしろいのね、と思っていたら、公式ツイッターが『印象派のアベンジャーズ』と真面目にふざけていたので、さらに興味が湧き…最終日で混んでるかな?とおそるおそる行ったら割と空いていた。印象派の画家の、初期から晩年までの作品を見比べることができおもしろかった。その充実ぶりに思わず、サミュエルさん、ありがとうってなった。(←一応真面目な感想)
ここ数年、オランダの画家の作品を観ることが多く、興味があったので、ゴッホ、というより、ハーグ派の作品目当てで行ってきました。
いや、ゴッホも好きだけど、ここの美術館は導線がイマイチであまり好きではなくて、積極的に行こうとはあまりならなくて。
でも、やっぱり、『麦畑』『薔薇』などゴッホはとてもよかったですね。ゴッホは実際に観ると本当に迫力がある。
ハーグ派の作品から影響を受けたゴッホの作品から、集大成の『糸杉』までの流れがよかったです。