旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

谷川俊太郎 展 東京オペラシティ アートギャラリー 2018.3

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結構、詩が好きで、詩集もたまに買います。
谷川さんは写真もやってますね、なぜか詩集ではなく、写真集を持っています。
詩に関する展覧会って意外にあるかも。以前まどみちお展に行きました。
まどさんも詩以外にも絵を描きますね。

谷川さんの詩でどれが好き?って聞かれたとしても
具体的にこれ、とは言えないのですが、
彼の紡ぎ出す言葉は「いいなあ」と思うことが多い、です。

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この展覧会は、谷川さんの頭の中をちょっと覗かせてもらった?という
感じでした。谷川さんを構成する世界を体験したような。
そして言葉のシャワーを浴びたような。
不思議な空間でした。

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没後40年 熊谷守一 生きるよろこび 東京国立近代美術館 2018.3

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池袋モンパルナス展の歴史を見てたら、池袋美術研究所の署名、最初が熊谷守一だったので、ちょうど観に行こうと思っていたし、と国立近代美術館までハシゴしました。
轢死」(←一所懸命観たけど真っ黒にしか見えなかった)「蠟燭」などの、闇と光を追求していた初期作品から、独自の方法で光と影の表現を模索していた時代、
それから自分の表現方法を確立して、と画家としての変遷がよくわかる展示になっていました。

光と影と色彩について色々考えました。おもしろかったなあ。

印象に残った作品

「木曽御嶽」の風景画3点 同じテーマの3点が構図も雲も雪も全て同じですごい執念を感じた。
「夜の裸」「谷ヶ岳」 裸婦は逆光による赤い輪郭線を持ち、山は赤い稜線を持つ。「裸婦を見ると風景が、風景を見ると裸婦が描ける」という捉え方がすごい。

「熱海」海岸と山の風景がきれい。
「椿」葉と花を分割した表現が好き。
「ヤキバノカエリ」娘の死の悲しみがひしひしと。
「石亀」「海の図」シンプルな構図なのに情報量が多い、というか的確なのだろう。
「向日葵」美しいシンプルさ。
「眠り猫」猫の絵は数あれど、下から見た鼻の穴が最高。
水仙」初期にも同じ水仙があるのですがそれに比べての簡略化が。
「群鶏」「母鶏」こちらも省略具合が最高。
「夜の月」「宵月」とにかくきれい。
「雨来」蛙の脚の表現がいい。
「蒲公英に蝦蟇」ガマガエルの恍惚の表情がたまらんです。

メインビジュアルの猫ちゃん始め、実物はとてもビビットな色合いでした。
コレクション展にも池袋モンパルナスの面々の作品があって同日によい組み合わせで観れてよかったです。
しかし、ここはいつも時間が足りなくて工芸館までは回れないのよね。
いつかゆっくり回ろう。

東京⇄沖縄 池袋モンパルナスとニシムイ美術村 板橋区立美術館 2018.3

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以前何かで知った池袋モンパルナスが取り上げられてたので行ってみました。
ニシムイ美術村はよく知らなかったけど。

由来となったモンパルナスとか他にもソーホーとかトキワ荘とか
同じ志を持つ芸術家たちが集まるって素敵ですね。

佐伯祐三松本竣介藤田嗣治丸木位里・俊、林武、北川民次靉光
など知った名前から、自分のまだ知らなかった作家も詳しく説明があって、
興味深く、勉強になりました。資料の居住地の地図なんかも。

外国への憧れ的な洒落た作品から、だんだん、戦争の色が濃くなっての
憂いたような作品が多くなってきたりとか、戦後の生きるためだったろう
米軍お土産用の「きぬこすり」とか。切なくも力強い作家たち。

 

われらの先祖から
人間は集まって生きてきた
今更ひとりぼっちでは滅亡する
おしゃべりをしたり
集まったりすることは意義深し
色と線との画宝の生活
恋をするにも下塗が肝心だ

絵描き同士の友情だけは
印象派ではあっけない
理解して引いたデッサンのように正確でありたい

第一回池袋美術クラブ展覧会の目録にあった
小熊秀雄の詩より

感動して思わずメモしてしまいました。
じっくりじっくり楽しみました。

板橋区立美術館、こじんまりしているけど、いい美術館です。「永遠の穴場」って謙虚すぎる。
この展覧会の後、2019年6月頃まで改修のため、休館中。
再開を楽しみにしています。

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プラド美術館展 ベラスケスと絵画の栄光 国立西洋美術館 2018.2

 

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展覧会の初日に行くということは滅多にないのですが……

こちらは珍しく初日に行きました。なぜなら……

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音声ガイドのプレゼンターが愛しのミッチーだったからです!

ミーハーです!ええ、20年来のミッチーベイベーとして気合いが入ります!

ミーハーぶりはそれくらいとして、音声ガイドはあまり借りない(ぼーっとしてて結構聴き逃したり、あまり活用できないタイプなので。昔、大好きなアナウンサーの加賀美幸子さんだったときは借りました、やっぱりミーハーな私)のですが、今回は熱心に聴きました。ゆかりの音楽が流れたり、いろいろ工夫されていて楽しいですね。

7章に分かれた展示に丁寧な説明があって、絵の背景、美術史としてのベラスケスのポジションなどよくわかっておもしろかったです。ベラスケス、結構野心家だったのですね。まあ、当時の画家を純粋に職業としてみると不思議ではないし、芸術の追求と両立できるのはなかなかすごいねと思いました。常設展も巡って、西洋絵画を楽しみました。

あ、あと

新館 版画素描展示室の マーグ画廊と20世紀の画家たち―美術雑誌『デリエール・ル・ミロワール』を中心に 

もとてもよかったです。昨年のジャコメッティ展を観ていたので興味深く観ました。

 

この日は、横浜美術館とハシゴだったのでアート鑑賞づくしでした。

石内都 肌理と写真 横浜美術館 2018.2

横浜美術館は好きな美術館の一つです。エントランスの天井の高さとかそれを活かした展示とか。あと好みの展覧会が多かったり、横浜トリエンナーレも楽しいし。

で、なんとなくタイトルに惹かれて足を運んでみたら、石内都、以前TVでみて興味あった、被爆者の遺品撮った〈ひろしま〉や〈フリーダ〉の写真家さんだった。私の中でつながってなかったようです。でも観に行けてよかった。インスピレーションは大切ですね。

『横浜』『絹』『無垢』『遺されたもの』の4章からなっていて、石内都の言葉が最初に添えられています。

印象に残ったのは『無垢』ちょうど開催中に被写体の石牟礼道子さんが亡くなったせいもあって。皺が刻まれた手に『無垢』というタイトル。

『遺されたもの』の〈ひろしま〉と〈フリーダ〉。被爆者の遺品、物に刻まれた年月。さっきまで見ていた人間に刻まれた皺と重ね合わせてしまって、物にも人間にも幾重にも年月は平等に刻まれるものなのだろうか、と感じました。

コレクション展の「シュルレアシスムの美術と写真」とアートギャラリーの「高円宮妃殿下写真展と現代根付コレクション」もよかったです。

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仁和寺と御室派のみほとけ ― 天平と真言密教の名宝 ― 東京国立博物館 2018.1

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 トーハクこと東京国立博物館の特別展は、書道関連の展覧会に行くことが多いです。他にも興味深い展覧会は多いですね。あと、夜間開館を活かした面白い企画も。

で、今回は「仏像か〜」とか思って、特に見に行くつもりはなかったのですが、SNSを見ていたら空海の真蹟が見れるとのことで、急遽予定変更、「三十帖冊子」修理後初の全帖公開をお目当てに行ってきました。全帖公開は期間限定でした。

「三十帖冊子」

空海が唐で書写して持ち帰った経典・儀軌類で、真言密教の秘書として大切に伝えられてきたもの。三十帖あることからこの名で呼ばれる。空海の自筆部分が十数帖確認され、空海と同じく平安時代の能書「三筆」の一人と称される橘逸勢の書も含まれると考えられており、書道史上も重要なものである。(解説より要約)

前知識がなかったので「空海の自筆部分これだけ〜?」とか思ってしまいましたが。経典なのでとても小さい文字です。空海の真蹟を見た!という満足感を味わいました。

そして、あとはさ〜っと流そうかなあと思ったのですが、仏像をはじめ、どの展示も素晴らしかったので思いの外長居しました。見応えあった〜。

日本全国の御室派寺院の仏像がいらしていて、これは貴重な機会だなと仏像好きでなくても思いました。パネルで所在地や寺院の説明が詳しくしてあるのですが、「○○年に一度しか開示しない」等書いてあって。

見に行ってよかったです。たまにはふらっと自分の好み以外の催しに行くのもいいですね。

撮影可コーナー:観音堂の様相を33体の安置仏と壁画の高精細画像再現

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レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル 森美術館 2018.1

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金沢21世紀美術館の「スイミング・プール」が有名なアーティスト。 まだ行ったことがないので、作品を見るのは初めてかな?と思っていたのですけど、 越後妻有大地の芸術祭で「トンネル」、 瀬戸内国際芸術祭で「不在の存在」を見ていました。 勉強不足……。

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「反射する港」 暗くて目が慣れるまで大変……

新作を含む44点の作品を紹介し、その8割が日本初公開とのことで、 楽しみに行ってきました。 「教室」や「試着室」、「美容院」や「建物」などの 不思議な感覚を味わえる作品も楽しかったですけど、 映像作品が結構好きでした。 ループなのでず〜っとぼ〜っと見ていたい感じ。 さっきはあそこに注目していたから、今度はここをじっと見ていよう、みたいな。

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「眺め」 「裏窓」の主人公気分

 

一番印象深かったのは「シンボルの民主化」です。 会場では記録写真だけでしたが、その後、映像で見て、 なんかもう、やられた感がすごい(いい意味で)月並みな言い方ですが。 ブエノスアイレスの7月9日通りに建つ、アルゼンチン独立の象徴のオベリスコ。 先端部がある日突然切り取られ、ラテンアメリカ美術館の前に出現。 ラテンアメリカ美術館前に設置された先端部分はレプリカで、中に入ることもできて、 窓からはブエノスアイレスの街が見渡せるようになっている。(モニターに映し出された景色) 聞いてるだけでワクワクしますね。 権力の象徴である建造物を一般市民に開放したプロジェクトだそうです。 実際に見てみたかったな……。

 

※会場で撮影した作品の写真は「クリエイティブ・コモンズ表示 - 非営利 - 改変禁止 2.1 日本」ライセンスでライセンスされています。