旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵 千葉市美術館 2022.2

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ポンポン展に行こうと決めてから、もし時間があればこちらも梯子しようかなあ……と思って経路を調べてたのだけど、同じ京成線でも移動に1時間弱かかるし、どうしたものか……と逡巡してましたが、幸い土曜日だから夜間開館だ、ラッキーと思いやっぱり行ってきました!

結果としては最高!だったので行って本当によかったです。千葉市美といえば浮世絵ですし、浮世絵好きなので。

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夜の美術館

ジャポニスム

・大浪のインパク

・江戸っ子の誇りー水の都・橋と船のある風景

・色彩としての黒

・鳥の眼ー空飛ぶ浮世絵師

・驟雨ー自然・瞬間・風情

の章立てで浮世絵の名品を中心に、欧米、ロシアからのジャポニスム作品も紹介する、とてもボリュームのある展示でした。

私が一番、見たかったのは『色彩としての黒』にあった、『夜の梅』鈴木春信。

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『夜の梅』鈴木春信

撮影可でしたが、黒が深すぎて反射が。正面からだと自分の写り込みがはっきりなので斜めから。

メトロポリタン美術館蔵。世界に2点しか存在しなくて、日本での公開は15年ぶりとのことで、とりあえずこれだけでも見たいと思っていたので。

「白梅は夜に愛でるもの」という言葉があるそうで、深い黒の中の白梅が際立って見ているだけで匂い立ちそうです。真ん中の女性の着物の裾の白には空摺りで模様があってそちらも素敵です。

同じ春信の『雪中相合傘』もあり、こちらの黒と白の対比も美しかった。

また、『二代目尾上菊次郎の滝夜叉姫』三代歌川豊国の、黒。

黒地の上に髪の毛一本一本がまたのせられていてその技術に圧倒されました。墨版とツヤ墨で摺られていて、さらに背景は濃紺で。その少しの差が生み出す深い色合いに、あ〜、これずっと見てられるわ、と思いました。

この、『色彩としての黒』の章が一番好きだったな。あ、どれもよかったですけど。

 

 

今回の試みでおもしろかったのは、ジャポニスムの作品との見比べですね。

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富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』と『カプリ島、波浪』

葛飾北斎富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』と北斎や広重、歌麿の影響を受けている、ファミレーエフ、ヴァディム・ドミトリヴィッチ『カプリ島、波浪』。

 

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『名所江戸百景 京橋竹かし』と『高い橋』

歌川広重『名所江戸百景 京橋竹かし』と、上と同じく、ファミレーエフ、ヴァディム・ドミトリヴィッチ『高い橋』。

こんな感じで影響を受けたであろう浮世絵と並べてジャポニスム作品の展示がありました。アメリカやロシアのジャポニスム作品をまとめて見たのは初めてだと思うので、新鮮でした。

音声ガイドが村岡希美さんで、彼女の声好きだし、と思って珍しく借りたのですが、すごくよかったです。(いつもは集中できなくなるのであまり音声ガイドは借りないのです)内容も良くて勉強になったし、村岡さんの声も心地よくて、これは聴いて正解だったわ、と思いました。

 

コレクション展も充実していて、たっぷり3時間くらい楽しみました。夜間開館に感謝。