何年か前(たぶん結構前…年取ると何でも、何年か前、になってしまう)ヴェネチアビエンナーレに行った人から、すごくよかったよ、と写真を見せてもらったガラスの彫刻作品。まるで水を張ったような不思議な曲面、そのときにロニ・ホーンを知りました。
いつか観たいな、と思っていたロニ・ホーンの日本の美術館での初の個展、これは絶対行かねば!秋の箱根を楽しみながら、なんて思ってたのに、結局、3月、会期最後の月になってからやっと行ってきました。
入ってすぐ最初に現れるのが…
代表作の、ガラス彫刻が8点、すべて無題ですが、小説や映画、新聞記事などからの引用文が添えられています。
水を湛えているみたいですが、ガラスです。窓の外が映って綺麗。
木々が緑の頃にも観てみたかったな。
この色は、なんか粘度を感じる。
アメリカを代表する詩人エミリ・ディキンスンの言葉をモチーフにした作品。意味のある言葉が、横から見るとただの模様になってる。
99.99%、厚さ0.02mmの金箔。
うまく写真では撮れないけれど、光が、まるで水面の細かい波紋のようでとても綺麗だった。
テムズ川を定点観測したシリーズ。この前に、『水と言う』という39分ほどの映像作品があって、そこでの朗読でもテムズ川は何度もでてきました。ルイジアナ近代美術館で行われたパフォーマンス、夕暮れからだんだん夜になっていく野外での朗読に引き込まれました。2回くらい観てた。
水と言葉を感じて。両方とも好きなものだから、とてもおもしろい。
タイトル、メモ忘れましたが、『または』などという言葉にナンバリングがついていました。大きな作品、ドローイングの作品ですが、よく見ると細かく切断したものを再構築しています。
こちらも、言葉の再構築。意味が生まれるのか、なくなるのか。模様は生まれる。
キービジュアルにもなってる作品。100枚のポートレートが並びます。アイスランドの温泉で、6週間にわたって一人の女性の表情を撮り続けた作品。同じように見えるものの中の変化を眺めます。
最後に、ポーラ美術館には素敵な散歩道があるので、そちらに。そこにガラス彫刻の9点目の作品があります。
遊歩道からは外れた、ぬかるんだ土の上にありました。
こちらにはタイトルがあって、そして、本当に水が溜まってる。屋外で見ると、これはガラスなんだなあと、その素材の主張を感じる。そして、周りの風景との違和感が目立つな、と思うと同時に、このまま、時を経てどのように変化していくのか?もしかしたらどんどん溶け込んで何か違うものになってしまうのではないか?と思う。
さっき見た、広い空間で屋外の自然の写り込んだ作品たちとは違うものに思えてくる。
このまま常設展示になるとのことで、楽しみです。
ガラスの彫刻が観たくて足を運んだ展覧会でしたが、どの作品も素敵でした。