本好きな子どもだったので、小学校に入学して初めて授業で図書室に行ったときを覚えている。好きな本を読みましょう、で、手に取ったのが、かこさとしの『どろぼうがっこう』。表紙がとてもかっこよかったのだ。今でもイカす!と思うし、それを気に入った当時6歳の自分の感性も我ながらイカす!と思っている。
でもやっぱり、だるまちゃんとからすのパンやさんがメジャーよね〜。
たぶん、『どろぼうがっこう』のあとに自分も読んでると思うのだけど。やっぱり、私の中では『どろぼうがっこう』以上のインパクトはなかったような記憶です。
今回の展覧会で知ったのは、かこさんが東大卒のエリートサラリーマン、研究者と絵本作家の二足の草鞋を履いていたこと。航空士になりたかったけど目が悪くて断念、で工学の方に進んだこと、東大に入学した年に敗戦、飛行機乗りになりたかった自分に少し後ろめたさを持ち、さらに軍国主義から民主主義に手のひら返した大人たちに嫌気がさして、大学卒業後は会社員をしながらセツルメント、というボランティア活動で子どものころから好きだった絵を描くことを活かして、子どもたちに紙芝居を披露していた(そのときの写真も展示されていた)こと…などなど。
確か美輪明宏さんの著書で読んだ記憶があるのだけれど、「理系と体育会系が結びつけば戦争が起こる、理系と美術系が結びつけば芸術が生まれる」みたいな自説を披露していて、(うろ覚え、本も手元にないので、ちょっと表現が違うかもです、あしからず)なるほどな、と読んだ時思ったのだけど、まさにかこさんのような人が体現しているな、と思いました。
印象に残った作品とエピソードなど。
『ミロのヴィーナス(かこによる)』『モナリザとダ・ヴィンチ』
これはいわゆる騙し絵。一見、線の模様だけど角度を変えると見えてくる…という類の。かこさんはダ・ヴィンチが好きだったそう。なるほど、共通点ありますね。
『セツルメントでの紙芝居の数々』
クレヨンや水彩、墨絵など、いろいろな手法で描かれていたところに、若さが感じられて。
『ゆきのひ』絵本
故郷の福井を思って作られた絵本、雪の表現に心がほんわりした。
『からすのパンやさん』絵本
宮沢賢治の『烏百態』という詩が好きだったそう。知らなかった作品なので興味が出ました。
『ならの大仏さま』絵本
この本を作るにあたり、奈良の大仏を5年研究したそう。子ども相手の絵本だからこその真摯に向き合う姿勢に圧倒されます。
他にも、科学・学習絵本はたくさんあって、研究者の本領発揮という感じでどれも素晴らしかったです。
『万里の長城』絵本
清明上河図が好きでその影響を受けていること。
『うつくしい絵』
唯一自ら出版社へ持ち込んだ企画とのこと。
これらも本物を子どもたちに届けたいという思いを感じます。
『地球 その中をさぐろう』絵本
下絵の展示。地球を地表から中心部まで描いた本。最後のページの言葉が「さあ、それでは あなたもわたしも みんな がんばりましょう。さようなら。」で締められていて、私たち人間が地球の一部であることをやさしい言葉で自覚させられる気がする。
私の大好きな『どろぼうがっこう』の原画は一枚だけでしたがそれでも満足。今まで読んだことのない絵本も読んでみたくなりました。
Bunkamuraの1階入口には
通りがかるとモニタが反応します。
本には触れなくて残念。この『Chock Full o' Fun てづくり おもしろ おもちゃ』はとてもかわいくて欲しくなりました。