旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる? ポーラ美術館 2022.3

何年か前(たぶん結構前…年取ると何でも、何年か前、になってしまう)ヴェネチアビエンナーレに行った人から、すごくよかったよ、と写真を見せてもらったガラスの彫刻作品。まるで水を張ったような不思議な曲面、そのときにロニ・ホーンを知りました。

いつか観たいな、と思っていたロニ・ホーンの日本の美術館での初の個展、これは絶対行かねば!秋の箱根を楽しみながら、なんて思ってたのに、結局、3月、会期最後の月になってからやっと行ってきました。

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ポーラ美術館 好きな美術館の一つです

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第一会場入口

入ってすぐ最初に現れるのが…

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無題

代表作の、ガラス彫刻が8点、すべて無題ですが、小説や映画、新聞記事などからの引用文が添えられています。

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水を湛えているみたいですが、ガラスです。窓の外が映って綺麗。

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木々が緑の頃にも観てみたかったな。

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この色は、なんか粘度を感じる。

 

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エミリのブーケ

アメリカを代表する詩人エミリ・ディキンスンの言葉をモチーフにした作品。意味のある言葉が、横から見るとただの模様になってる。

 

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ゴールド・フィールド

99.99%、厚さ0.02mmの金箔。

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うまく写真では撮れないけれど、光が、まるで水面の細かい波紋のようでとても綺麗だった。

 

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静かな水(テムズ川、例として) 15点あるうちの一つ

テムズ川を定点観測したシリーズ。この前に、『水と言う』という39分ほどの映像作品があって、そこでの朗読でもテムズ川は何度もでてきました。ルイジアナ近代美術館で行われたパフォーマンス、夕暮れからだんだん夜になっていく野外での朗読に引き込まれました。2回くらい観てた。

水と言葉を感じて。両方とも好きなものだから、とてもおもしろい。

 

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第二会場入口

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タイトル、メモ忘れましたが、『または』などという言葉にナンバリングがついていました。大きな作品、ドローイングの作品ですが、よく見ると細かく切断したものを再構築しています。

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こちらも、言葉の再構築。意味が生まれるのか、なくなるのか。模様は生まれる。

 

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あなたは天気 パート2

キービジュアルにもなってる作品。100枚のポートレートが並びます。アイスランドの温泉で、6週間にわたって一人の女性の表情を撮り続けた作品。同じように見えるものの中の変化を眺めます。

 

最後に、ポーラ美術館には素敵な散歩道があるので、そちらに。そこにガラス彫刻の9点目の作品があります。

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鳥葬

遊歩道からは外れた、ぬかるんだ土の上にありました。

こちらにはタイトルがあって、そして、本当に水が溜まってる。屋外で見ると、これはガラスなんだなあと、その素材の主張を感じる。そして、周りの風景との違和感が目立つな、と思うと同時に、このまま、時を経てどのように変化していくのか?もしかしたらどんどん溶け込んで何か違うものになってしまうのではないか?と思う。

さっき見た、広い空間で屋外の自然の写り込んだ作品たちとは違うものに思えてくる。

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このまま常設展示になるとのことで、楽しみです。

 

ガラスの彫刻が観たくて足を運んだ展覧会でしたが、どの作品も素敵でした。

ジャポニスム 世界を魅了した浮世絵 千葉市美術館 2022.2

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ポンポン展に行こうと決めてから、もし時間があればこちらも梯子しようかなあ……と思って経路を調べてたのだけど、同じ京成線でも移動に1時間弱かかるし、どうしたものか……と逡巡してましたが、幸い土曜日だから夜間開館だ、ラッキーと思いやっぱり行ってきました!

結果としては最高!だったので行って本当によかったです。千葉市美といえば浮世絵ですし、浮世絵好きなので。

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夜の美術館

ジャポニスム

・大浪のインパク

・江戸っ子の誇りー水の都・橋と船のある風景

・色彩としての黒

・鳥の眼ー空飛ぶ浮世絵師

・驟雨ー自然・瞬間・風情

の章立てで浮世絵の名品を中心に、欧米、ロシアからのジャポニスム作品も紹介する、とてもボリュームのある展示でした。

私が一番、見たかったのは『色彩としての黒』にあった、『夜の梅』鈴木春信。

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『夜の梅』鈴木春信

撮影可でしたが、黒が深すぎて反射が。正面からだと自分の写り込みがはっきりなので斜めから。

メトロポリタン美術館蔵。世界に2点しか存在しなくて、日本での公開は15年ぶりとのことで、とりあえずこれだけでも見たいと思っていたので。

「白梅は夜に愛でるもの」という言葉があるそうで、深い黒の中の白梅が際立って見ているだけで匂い立ちそうです。真ん中の女性の着物の裾の白には空摺りで模様があってそちらも素敵です。

同じ春信の『雪中相合傘』もあり、こちらの黒と白の対比も美しかった。

また、『二代目尾上菊次郎の滝夜叉姫』三代歌川豊国の、黒。

黒地の上に髪の毛一本一本がまたのせられていてその技術に圧倒されました。墨版とツヤ墨で摺られていて、さらに背景は濃紺で。その少しの差が生み出す深い色合いに、あ〜、これずっと見てられるわ、と思いました。

この、『色彩としての黒』の章が一番好きだったな。あ、どれもよかったですけど。

 

 

今回の試みでおもしろかったのは、ジャポニスムの作品との見比べですね。

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富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』と『カプリ島、波浪』

葛飾北斎富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』と北斎や広重、歌麿の影響を受けている、ファミレーエフ、ヴァディム・ドミトリヴィッチ『カプリ島、波浪』。

 

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『名所江戸百景 京橋竹かし』と『高い橋』

歌川広重『名所江戸百景 京橋竹かし』と、上と同じく、ファミレーエフ、ヴァディム・ドミトリヴィッチ『高い橋』。

こんな感じで影響を受けたであろう浮世絵と並べてジャポニスム作品の展示がありました。アメリカやロシアのジャポニスム作品をまとめて見たのは初めてだと思うので、新鮮でした。

音声ガイドが村岡希美さんで、彼女の声好きだし、と思って珍しく借りたのですが、すごくよかったです。(いつもは集中できなくなるのであまり音声ガイドは借りないのです)内容も良くて勉強になったし、村岡さんの声も心地よくて、これは聴いて正解だったわ、と思いました。

 

コレクション展も充実していて、たっぷり3時間くらい楽しみました。夜間開館に感謝。

フランソワ・ポンポン展―動物を愛した彫刻家 佐倉市立美術館 2022.2

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ブログタイトルらしく小旅行をしてきました。県を跨いだ日帰り旅、久しぶりです。

2021年夏に京都でフランソワ・ポンポン展と聞いて、「夏休みの旅行にいいかも!そのころにはきっと」という願い虚しく旅行なんてまだまだ無理なご時世で、でも千葉に巡回があるのを知っていたので今か今かと待っていたら、やっと2月にやってきました。

(途中の群馬もちょっと迷ったけど、ぐっと堪えて)

佐倉市立美術館はDIC川村記念美術館に行くときにいつも気になっていたのだけど機会がなくて、今回初めて行ってきました。素敵な建物です。

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彫刻家としてのスタートはやはり、人物彫刻から。そして動物彫刻に転向した初期の作品に、独自に生み出したポンポン様式と呼ばれるなめらかな動物彫刻、と順に展示されています。

人物彫刻もとても良かった。台座に刻まれた“Pompon”のサインがすごくかっちりしていたのが印象に残りました。(その後、動物彫刻になるにつれてラフなサインになっていた。心境の変化なのかな?)

ロダンの工房で工房長まで務め、長い下積みを経験し、人物像をあきらめ、動物彫刻への道を見出し初めてサロンに動物彫刻で出品したのが51歳のとき。

下積み時代に培われた実力が自分のオリジナリティと結びついて一気に花開いた、という感じ。しかもとどまることなく、形を追求していって、洗練されていき、自分の様式を完成させた。「ポンポンの彫刻、シロクマ、かわいい〜」って第一印象で見たいと思ったけれど、見れば見るほど、その研ぎ澄まされた形の正確さと美しさに感動しました。

特に好きだったのは

モグラ』地中とモグラを彫りの違いでの表現がすごい

『猪』台座の工夫が最高

『巣の雌鳩』とにかくキュートでかわいい

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技法の説明パネル。他にもアトリエの風景とか写真の展示もありました。

佐倉市立美術館では3/29まで。京都から名古屋、群馬、千葉と来てその後山梨に巡回が決まっています。多くの人に見てもらえるといいな。

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グッズは結構売り切れてしまっていて、不定期に入荷したりしてるみたいです。

図録とバッジと絵葉書を買いました。

振り返り2019年 後半(7〜12月)

間に最近の鑑賞も入りつつ、ぽちぽち記録していきます。

2019年

7月
日本・オーストリア外交樹立150周年記念
ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道
国立新美術館

ウィーン分離派、ウィーン幻想派などの展覧会は今までもあったけど、これはウィーンという都市の歴史の、文化の、展覧会。充実していてどれも見応えがあり、最後まで観るのにとても時間がかかってしまった。

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クリムト『エミーリエ・フレーゲの肖像』

グッズがとてもよくて、普段は図録やポストカードくらいしか買わないのに、Tシャツや小物をいろいろ買い込んでしまいました。

 

金の星社創業100周年記念 金の船・金の星 子どもの本の100年展
上野の森美術館

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チケットをいただいたので行ってみた。
武井武雄が好きなので、『コドモノクニ』や『キンダーブック』『赤い鳥』などは知っていましたが『金の船』『金の星』は知らなかったかも。(調べたらこちらにも武井武雄は描いてますね)金の星社創業時から最近の絵本まで展示がありましたが、自分が子供の頃の年代でもあまり見た覚えがある本がなく、おそらく、通っていた幼稚園や地域性など環境によるのかもな、と思いながら観ました。唯一、『かわいそうなぞう』『ガラスのうさぎ』は知っていました。児童向けの戦争関連の作品が強みだったのでしょうか。特に『ガラスのうさぎ』は映画にもなっていたな、と一気に記憶が蘇りました。戦前の戦争賛美的な児童書の展示もあって興味深かったです。世相を映すよね。

 

メスキータ展
東京ステーションギャラリー
日本初の回顧展。
初めて知ったメスキータだけどその作品には既視感があり、エッシャーの恩師というので納得。

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エッシャーが命がけで守った画家、という強烈なフレーズは、第二次世界大戦中、ユダヤ人であるメスキータが強制収容所で家族共に殺され、それを知ったエッシャーら、教え子が急いで絵を隠して守ったことから。今、この作品たちを観ることができるのも、メスキータの存在を知ることができたのもそのおかげなのね。図録の装丁が素晴らしく、私が行ったときは生憎売り切れでしたが、注文して買えました。

 

8月

宮永愛子:漕法
高松市美術館

夏の瀬戸芸で高松に行ったときに、こちらにも足を運びました。
ナフタリンや塩を素材に「変わりながらも存在し続ける世界」を表現する現代アーティスト。2017年のこちらでも。

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これら、代表的な作風の作品以外にも、讃岐名石「サヌカイト」を素材とする新作インスタレーションがあって、自分で叩いて音を出せることができました。

 

国立西洋美術館開館60周年記念
松方コレクション展
国立西洋美術館

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これはデジタルで修復した『睡蓮、柳の反映』

モネの幻の睡蓮『睡蓮、柳の反映』の修復作品が観れるということで。写真はデジタル復元したもの、実際は上半分はほぼ失われています。最後の部屋にありました。

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これもコレクションの一つ ロダン地獄の門

松方さんすごいね〜豪儀だわ、なんて思ったり。作品だけでなく、当時のヨーロッパへの書簡などの資料も多く、充実したまさにコレクションでした。

 

日本・フィンランド外交関係樹立100周年記念
モダン・ウーマン―フィンランド美術を彩った女性芸術家たち
国立西洋美術館

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松方コレクションと同会期に新館展示室にて。
美術の歴史を紐解けば、現れるのは男性ばかり。その活動が知られている女性は一握りで、それも苦労や悲劇的な結末が多く、さらにはそれが映画の題材になっていたり、カミーユ・クローデルとか。なので、フィンランドで女性が平等に美術学校に通い芸術家として活躍してたことが知れたのはとてもうれしかった。

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MAY I START? 計良宏文の越境するヘアメイク
埼玉県立近代美術館
資生堂のトップヘアメイクアップアーティストの展覧会という珍しい?新しい?企画に興味を持ったので行ってみた。

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クリエイターの道具は美しい

『この展覧会は、今注目のヘアメイクアップアーティスト・計良宏文(けら・ひろふみ)の仕事を通して、ヘアメイクの現在と可能性を新たな視点からとらえるものです。』(公式サイトより)

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普通の白い服に見えますが…

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フラッシュを焚いて撮影すると!

アイドルやアーティストの衣装など、尖った(という表現もちょっと使い古されていて自分でもどうかと思うけど)作品も面白かったけど、

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これはポートレートに見えて、各々映像になっている。急に瞬きしたりするので油断ならない。

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しかも一人のモデルさん。ヘアメイクの挑戦って感じがします。

伝統とコラボした表現の、そこからわかる実力とセンスの確かさよ。

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ジャンルを超えた写真家・華道家の勅使河原城一、人形遣い・勘緑とのコラボレーションが素敵でした。


高橋秀+藤田桜 素敵なふたり
世田谷美術館

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写真は全て高橋秀作品

日曜美術館を見て、興味を持ちました。世田谷美術館に行くのは初めて。行きのバスがちょうど乗れたのだけど結構混んでて、美術館も混んでて、人気あるのね〜と思ってたらおふたりを招いての講演会があったのでした。そりゃ混むわ。整理券配布終わってたので残念ながら参加はできず、じっくり展覧会を楽しみました。おふたり独自の世界と、仲睦まじい関係がわかる展示になっていておもしろかった。秀さんの作品は無機質なのに官能的、桜さんの作品は可愛らしさの中にキリッとした威厳みたいのがある、と感じました。

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帰りはバスも混むだろうしと歩いてみたら、素敵な散歩道でした。公園の中の美術館って好きだなあ。

 

9月
原田治展「かわいい」の発見
世田谷文学館

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オサムグッズ、最近また人気がでてきてますね。
原田治といえば、昔ミスドでドーナツ食べながらトレーの紙読んでたらインタビューが載ってて「絵が上手くなるには?」って質問に「素質がないと無理です」って言い切ってたのが印象的。
「わ〜可愛い!今でも通用する〜」とはしゃぐ若い層と私含めひたすら懐かしむ世代の層と、が2大客層でした。大和銀行の通帳、持ってたな〜ってしみじみする私の後ろで「やまとぎんこう?かっわいい♡」って聞こえたもん。(正解はだいわぎんこうです)

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私持ってたシリーズその1 (デザイン違いだけど。カードもオサムだった)

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私持ってたシリーズその2 ミスドお手玉

 

オサムグッズだけでなく、装丁や雑誌記事、執筆など全仕事の集大成でした、おもしろかった。

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創作表現のバリエーションの豊かさよ

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ハンプティ・ダンプティ

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ねことバイオリン

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あなたはどれ持ってた?シリーズ その1

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あなたはどれ持ってた?シリーズ その2

 

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あなたはどれ持ってた?シリーズ その3

真剣に探してしまうくらいの量…。懐かしさでいっぱい。

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コレクション展の「仁木悦子の肖像」もよかったです。

 

ジュリアン・オピー
東京オペラシティアートギャラリー
なんか、見覚えがある!と考えたら、瀬戸芸の高松で作品を見ていました。

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親しみある、再会気分♪とか思ってたら、予想以上に大きい作品とか風景とか、知らない世界に触れて新鮮でした。

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床から天井まで。大きい。

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街行く人が急いでいるみたい。アニメーションです。

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一緒に観ることでいろいろ想像してしまう。

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こちらも街をゆく人たち、鑑賞者も混じる。

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壁を泳ぐ魚たちと

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窓を泳ぐ魚たち(反射している)

シンプルな線なのに、それぞれ個がある、とわかるのがすごい。シンプルだからこそなのか?とにかくおもしろかったです。

マリアノ・フォルチュニ 織りなすデザイン展
三菱一号館美術館

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聞いたことのない名前…だけどメインビジュアルのドレスに惹かれ、ファッションデザイナーなのかな?お洋服の展覧会いいよね、美術館の雰囲気にも合ってるかも、などと思いながら足を運びました。平日夜にレディースデーになってた、こちらの美術館はいろいろ工夫割をするので楽しいですね。

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確かに、ファッションデザイナーではあるのだけど、あらゆる才能に恵まれた人で、絵、版画、写真、オペラの舞台芸術等々に名作を残していることに驚きました。ポスターにもなってたデルフォスというドレスはどれも美しく、柔らかいのだろうな〜とその手触りを想像しながら観ていました。


10月
塩田千春展:魂がふるえる
森美術館

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糸を使った大掛かりなインスタレーションや映像作品も、もちろんよかったけれど、

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初期の(なのかな?)エッチングや素描が好きでした。後に続く作品にも通ずる生命力のようなものを感じました。

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どれも迫力あります。

 

11月
不思議の国のアリス
@そごう美術館

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アリスは大好きで、子供の頃読んでた、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』はまだ手元に大切に持っています。そこに描かれていた、ジョン・テニエルの原画が観れる!とわくわくしながら行ってきました。うれしい出会いだ、感動しました。
他にも、アリスをモチーフにしたアーティストの作品がたくさん展示してあって、やっぱりみんなインスピレーションを掻き立てられるのね、とうれしくなりました。


12月
田中未知プレゼンツ 寺山修司贋絵葉書展
@Kanzan Gallery

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入口から雰囲気出てる。

 

寺山修司、好きなのだけど、贋絵葉書というものを作っていたのは知らなかった。やはり独特の感性を持っている人ですね。

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宛先も、送信元も、内容も本当なのか嘘なのか?(いや、贋だから嘘なんだろうけど)そんなの本当のことは誰も知らない、そんなへんてこな世界を覗き見られておもしろい。寺山関連の掲載のある古い雑誌が資料で公開されていたのでじっくり読みました。
絵葉書に残された万年筆の筆跡が美しかった。

 

鹿島茂コレクション
アール・デコの造本芸術
@日比谷図書文化館

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かわいい同僚さんに「きっとchiegonさん、好きですよ、行ってみてください」とおすすめされた。大好きな日比谷図書文化館。
アール・デコは好きで、家具やポスターの展覧会は行くけれど、造本芸術というのは初めてです。
昔は、本は購入してから自分で製本に出していたのですね。その工程は詳しく説明があって勉強になりました。
アール・デコ四天王と言われる、バルビエ、マルティ、マルタン、ルパップ、のデザインとイラストレーション、私はマルタンが特に好きでした。


カミーユ アンロ 蛇を踏む
東京オペラシティアートギャラリー

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これも日曜美術館で見たのかな?会期ギリギリだったから。
草月流のいけばなに触発され、2011年から継続的に制作されているシリーズ。花の展示、という新鮮さに惹かれました。
『蛇を踏む』は川上弘美の小説だけど、その通り、作品はそれぞれ一冊の本に由来していて、題名や著者、花材名、本の一節が作品とともに展示されてます。

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『美しさと哀しみと』川端康成

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源氏物語紫式部

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指輪物語』J.R.R.トールキン

 

他に、インスタレーション、ドローイング、映像作品も、見応えがありました。

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コートールド美術館展 魅惑の印象派
東京都美術館

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松方コレクションがよかったので、こういう、パトロンが収集した系もおもしろいのね、と思っていたら、公式ツイッターが『印象派アベンジャーズ』と真面目にふざけていたので、さらに興味が湧き…最終日で混んでるかな?とおそるおそる行ったら割と空いていた。印象派の画家の、初期から晩年までの作品を見比べることができおもしろかった。その充実ぶりに思わず、サミュエルさん、ありがとうってなった。(←一応真面目な感想)


ゴッホ
上野の森美術館

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ここ数年、オランダの画家の作品を観ることが多く、興味があったので、ゴッホ、というより、ハーグ派の作品目当てで行ってきました。
いや、ゴッホも好きだけど、ここの美術館は導線がイマイチであまり好きではなくて、積極的に行こうとはあまりならなくて。
でも、やっぱり、『麦畑』『薔薇』などゴッホはとてもよかったですね。ゴッホは実際に観ると本当に迫力がある。
ハーグ派の作品から影響を受けたゴッホの作品から、集大成の『糸杉』までの流れがよかったです。

第15回shiseido art egg中島 伽耶子展「Hedgehogs ハリネズミたち」展 資生堂ギャラリー 2021.12

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こちらの一番下

高見島で観た作品の作家さん、会場が変わるとどんな風に印象が変わるのだろう?って興味を持ちました。

なので、作品の前情報はあまりちゃんと読まず、さっと行ってしまったのだけど。ちょっと作品に対してきちんと向き合えなかった後悔の残る鑑賞体験になりました。

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入ると、呼び鈴(非常ベルのような強い音でした、ドキドキした)

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このベルが鳴る

反対側は壁、ドア、貫通している、また、下に散らばっているアクリル板。

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もっと暗い、印象だった

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ん?こちらは中?壁紙だから中だよね?でもとても暗い。

向こうは呼び鈴があったから外?とても明るいけど、真っ白で少し怖いような明るさ。
そんな作品。

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作家の作品の解説を読むと
物事を隔てる壁や境界線をモチーフにしながら、場所との関わりを出発点に作品を制作していること、この展示では人との関係性における希求と暴力性をテーマに空間を構成していること。

それを知ってから、高見島での作品もこの作品も、見方が変わってくるな〜と。

高見島では、島、また民家と外の関係性、から、アクリル板を通して光が入ってきて綺麗、とか時間によって、光の入る量が変わり、この空間も変わってくのだな、とか思って、この、アクリルの形状の持つ鋭さと壁を貫通しているという状態から伝える暴力性、ということには全然思い至りませんでした。
自分の呑気さにちょっと嫌になりながら観終わってから、スタバで一服しながら「はーっ」と心を落ち着けたりしておりました。

やっぱり、作家の作品のコンセプトをきちんと捉えてから鑑賞するって大切なんだなあと、ちょっと今までの自分の鑑賞の仕方を反省してしょぼんととしてしまった。

貴重な体験ができて本当によかったです。
自己満足だけのアート鑑賞なんてつまらないもの。

 

12/19まで。バーチャルツアーもあります。私も見直そっと。

 

www.youtube.com

振り返り2019年 前半(1〜6月)

書き留めていたメモと記憶を頼りに。

撮影可と不可でこちらに上げる情報量はだいぶ違ってしまいますが。

 

1月:

上野アーティストプロジェクト2018
見る、知る、感じる 現代の書 @東京都美術館

現代書の自由な表現に刺激を受けました。
特に、千葉蒼玄の『3.11 鎮魂と復活』と独特な落款に惹かれました。

やっぱり篆刻をやってみたいなあ。

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『3.11 鎮魂と復活』 新聞記事の文章が波に。

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会場で流れていた映像より。この落款すごく好き。

 

Bunkamura30周年記念
国立トレチャコフ美術館所蔵
ロマンティック・ロシア @Bunkamuraザ・ミュージアム

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ロシア文化に特別に興味があるのか、というわけではないけど、建築とか美しいし、チェブラーシカ可愛いし、とか思って。渋谷にライブに行くのでついでにって感じで行ったのだった。今はふらりと美術館に行くのは難しくなって寂しいですね。

キービジュアルになってる『忘れえぬ女(ひと)』をはじめとした人物画も素敵ですが、イワン・シーシキン『正午、モスクワ郊外』など、風景画がいいですね。広大な大地と空。広い国だものね。

同じくイワン・シーシキン  『雨の樫林』は雨が匂い立つようでした。

 

特別展
顔真卿 王羲之を超えた名筆 @東京国立博物館

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目玉の日本初公開となる『祭姪文稿』が話題の展覧会。
インバウンドなお客さんの方が多かったような。会期も春節に合わせてますよね。その時期を避けて前期後期行ってきました。

文字の成り立ちや、篆隷楷行草書の歴史を追った展示、『九成宮醴泉銘』の見比べなど、各法帖のキャプションもわかりやすく、書道好き以外にも楽しめる展示だったと思います。

第一会場の一番最後に『祭姪文稿』だけ、ラインが作られてて歩きながらの鑑賞でした。平日で30分待ち、になってましたが実際は15分くらいで観れた感じ。
空いているところを見計らって3回歩きました。英語と中国語の「立ち止まらないでください」がちょっとうるさかったけどまあしょうがないのかな。

他にも懐素の『自叙帖』『千金帖』に米芾も観れたし大いに満足でした。
が、いちいち王羲之を引き合いに出すのは(それも下げる感じで)ちょっといただけないわね、と感じました。

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玄宗 筆「紀泰山銘」(拓本)

唯一撮影可だった、唐玄宗 筆「紀泰山銘」(拓本)すごく大きな作品で、天井から床に広げられてました。成田山書道美術館では全部吊るしてあるそうで、いつかそちらも観てみたいです。

2月:
小原古邨 @太田記念美術館

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知られざる花鳥画家、最近人気ですが、東京での展覧会は初めてだったそう。
愛らしい動植物がいっぱいで楽しいです。
絵師、彫師、摺師、版元が絶妙なコンビネーションでその世界を作っているのがわかる展示になっているのもよかったです。


3月:
子どものための建築と空間展 @パナソニック汐留ミュージアム(現 パナソニック留美術館)

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子どもの教育黎明期から現代まで、主に小学校の建築をパネルと模型と映像で紹介していて、とても見応えがありました。建築の面白さが楽しめるのかな?と思ってたのですが、その時代に応じた「子どものためのデザイン」を考えてきた作り手たちの想いが伝わってきて、そっちの方に感動してしまった。

 

インポッシブル・アーキテクチャ
もうひとつの建築史 @埼玉県立近代美術館

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20世紀以降の国内外のアンビルト(=未完)の建築を「インポッシブル・アーキテクチャー」と定義した展覧会。
コンペ通ったけど色々あって頓挫した作品、次点以降の評価が高かった入賞作品から、高度成長を見越して建築家たちが構想した近未来的な都市計画、アーティストよりの建築家の理想郷などなど、とてもおもしろかった。建築は街とか生活、社会をつくるようなものだから、建築家みんな思想を持ってる。それがどのような結果をもたらすかは別として。
ザハの新国立競技場の展示がさすがに力が入ってました。模型、CG、映像、そして膨大な設計資料(分厚い冊子が二十数冊…)、実現できたはずの建築、だったのにね。

 

奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド
東京都美術館

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メインビジュアルの曽我蕭白が強烈で、長澤芦雪の『白象黒牛図屏風』とか国芳とか若冲とか観たいし、って行ってみた。よくよく調べたら1970年に刊行された美術史家・辻惟雄による『奇想の系譜』に基づく、江戸時代の「奇想の絵画」の決定版、とのことで、その本をあらためて読んでみないとな〜と思っている。岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳白隠慧鶴、鈴木其一、どのアーティストも素晴らしかった。

 

岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟
東京都庭園美術館

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このポスターで心鷲掴みにされた。作品はどこかでみたことがあったかもしれないけど、まとまって観るのは初めての岡上淑子

魅力的な作品ばかりなんだけど、残された書簡などから、“お嬢さん作家”扱いされている感じがなんか切なくて悔しかった。時代のせいとは思いつつ。

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『幻想』

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庭園の眺め 岡上淑子の世界にぴったりの庭園美術館

 

イメージコレクター・杉浦非水展
東京国立近代美術館 ギャラリー4

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写生帖からスクラップ、16ミリフィルムの映像に、とポスターだけでない、秘蔵の資料盛りだくさんの展覧会。前期後期でじっくりと楽しみました。

特に映像で当時の東京や風俗が観れるなんて新鮮。あと雑誌の記事もたくさんあって、学生が、非水をはじめとした先生方を批評してたり、当時の美術界が垣間見えておもしろかったなあ。

 

5月:
福沢一郎展 このどうしようもない世界を笑いとばせ
東京国立近代美術館 

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杉浦非水目当てで行ったときの企画展。よい評判を聞いたので。

シュルレアリスムは好きだけど、日本のシュルレアリスムに関しては疎くて、福沢一郎も初めて知りました。近代美術館はコレクション展でも日本のシュルレアリスム作品を取り上げてくれるので知識が広がります。

批評家の瀧口修造治安維持法で逮捕されているのね、瀧口修造岡上淑子を見出してるし(先述した書簡は瀧口とのもの)図らずも日本のシュルレアリスムを連続して鑑賞したんだな。

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『埋葬』

タイトルとは反対の、力強さとか生命力を感じるタッチと色。メキシコのアートを連想したら、戦後の中南米旅行の成果の集大成の作品だそう。確かに。

東京駅にこの作品を90°回転した原画をもとにした『天地創造』というステンドグラスがあります。

 

information or inspiration?左脳と右脳でたのしむ日本の美
NEND×SUNTORY MUSEUM OF ART

サントリー美術館

左脳とか右脳とかには懐疑的なのですが、NENDのアートワークは好きだし、どんなものかと行ってみました。提示された形のみを観て想像力を膨らますinspirationと詳しい情報と全体像を観るinformation。一つの作品を違う角度から見るという視点は面白いです。2往復してじっくり観ました。

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この巻物を

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紙、加工、書、落款に分解

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再構築?

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ビニール傘をさして歩くと、傘の影の中に映像が

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傘の中に雨が降る

 

6月
トム・サックス ティーセレモニー
東京オペラシティ アートギャラリー

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予備知識等なしに、なんとも可愛げのあるポスターに惹かれて観に行ったら、運のいいことに、長編映像プログラム特別上映の日で、「The Hero's Journey」「A Space Program」を観ることができました。

そして、展示を観るうちにティーセレモニーは茶道、茶会のこと、と気付くという。いろいろ新鮮な気持ちで楽しみました。

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茶道の茶碗

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茶道といえば水

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そして松に灯籠

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茶室

実際にサックス自身がティーセレモニーを行うイベントもあってそれも映像で観ることができました。日本の伝統的な茶の湯の世界とそれを取り巻く様々な儀礼や形式を独自の解釈で再構築した作品を制作するために、本格的に茶道を学んできたそう。おもしろいアート、アーティストに出会えてよかった。


デザインの(居)場所
東京国立近代美術館工芸館

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今はなき工芸館(金沢に移転)この素敵な煉瓦造りの建物ももう入れない

近代美術館は企画展、コレクション展ともに、チケットを買うとこの工芸館も入館できるのだけど、何しろ美術館自体のボリュームがたっぷりなので、工芸館まで行くとなると一日仕事になってました。
これは、工芸館所蔵のデザインコレクションによる、工芸とデザインの関係、などを考察した所蔵作品展。

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問題提起をされながら進む

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『あかり』イサム・ノグチ

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カッサンドル

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東京国立近代美術館で初めて開催されたデザインの展覧会を振り返る。


石本藤雄展 マリメッコの花から陶の実へ
@スパイラルガーデン

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あのフィンランドの「マリメッコ」、かわいい、好き。で、32年間で400点を超えるテキスタイルデザインを生み出し、その後、「アラビア」のアート部門に所属して、現在は陶芸家として数多くの作品を発表している方とのこと。なんて素敵な。
作品は、テキスタイルから陶の作品まで。石本さんの出身地、愛媛県砥部町は200年以上の歴史がある伝統工芸品「砥部焼」で有名だそうで、やはり原点というかルーツに帰る感じなのでしょうか。

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壁面に展示されていた陶のお花たち、かわいい。

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お皿、日常の美

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テキスタイルも

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陶の実

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貴重な資料


クリスチャン・ボルタンスキー Lifetime
国立新美術館

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これは豊島の『ささやきの森』ボルタンスキー直筆の風鈴

今年(2021年)7月4日に亡くなってしまったクリスチャン・ボルタンスキー。もう新しい作品に会えないのかと思うととてもさみしい。2016年の庭園美術館での展覧会、場所と作品が合ってない、って声も聞いたけど、私はとても好きでした。あの空間で、ずっと、ボルタンスキーの作り出す空気にまとわりつかれている感じがして。雨の中、講演会に行って自身を「巡礼者だ」というボルタンスキーの話を聞けたこと、豊島に新しい作品を作ること、2019年に大規模な展覧会をやるよって言われて、うれしかったことなどを思い出しました。

この、ボルタンスキー本人が展覧会会場に合わせたインスタレーションをした回顧展を観れたのは幸せでした。

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『ぼた山』

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『影(天使)』

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ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島- 水戸芸術館現代美術ギャラリー 2021.10

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まずは、最近行った展覧会から。
11月はお休みしてしまったので、10月に行った水戸芸術館です。

水戸芸術館は昔、それこそオープンしたてのころに車で行ったきりだったので、水戸駅からどんな行程になるのか不安だったのですが、バスが多く、行きも帰りもすぐ乗れたので、とてもスムースで、一安心でした。ちょっとした旅行気分も味わえて、まさにアートな小旅行になりました。

ピピロッティ・リストは豊島に作品があって印象に残っていて、今回は大規模な回顧展とのことで私的2021年に行きたい展覧会トップ3に入れて楽しみにしていました。

夏にまず、京都で開催していたので、旅行がてら観に行くのもいいなあ〜と思っていたらとてもそんな状況ではなく。おとなしく水戸への巡回を待つことに。

しかも、水戸も2021年8月7日~10月17日の予定が新型コロナウイルス感染症拡大による臨時休館のため8月7日~9月19日まで休場と、とても短い会期になっていしまい残念でした。

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土日祝は事前予約をして当日窓口でチケットを購入、というシステムでした。
予約だけは早く入れていたので、その後、すぐ枠が埋まったと聞いて、今年は本当に鑑賞するにも大変だなあと。

身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした主に映像作品です。

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『永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に』

靴を脱いで観るスタイル。クッションもあって快適です。映像の鮮やかさ、可愛らしさと、内容の相反にふふっとなった。

 

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壁に張り付いた日用品の模型と手前に敷いてある小石と映像の融合。これもカーペットが敷いてあって……

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この小さい小さい穴にも……

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『溶岩の坩堝でわれを忘れて』

映像が。

 

空間が仕切られていて、その場所ごとの世界を覗く感じ。

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こちらのスペースは、入口に『Help me』のネオンサイン。カーテンを開けると……

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『4階から穏やかさへ向かって』

ベッドに寝そべって鑑賞します。

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手前は、私の足

水面と水中を行ったり来たりする映像に、水に潜っているような静けさを感じます。息苦しさと心地よさを行ったり来たり……。

 

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食卓と映像の融合。ここでも、日用品との融合、しかし、それを囲むのは他人。移り変わる映像が食卓の印象をどんどん変えていきます。

 

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『忍耐』

映像と家具が溶け合ったリビングルーム。置いてある小物も独特で楽しい。寛げる?寛げない?

 

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靴を脱いで、クッションに身を委ねて鑑賞する、というのは心も無防備になるかも。そこに入り込んでくる、ピピロッティの世界。

 

最後に小さいルームで、身体や女性としてのアイデンティティをテーマとする初期の短編ビデオ上映がありました。貴重な作品が観れてよかった。

 

作品、展示形態、どれも素晴らしくて、本当に行ってよかったなあ、と呟きながら帰りました。
今年の行きたい展覧会トップ3に入れてたけど、間違いなく今年の行ってよかった展覧会トップ3入りです。