旅の目的は主にアートです。

旅は日帰りも含みます。近くの美術館から遠くの美術館まで。観たいものは観たい!気ままな鑑賞日記です。

瀬戸内国際芸術祭2019夏 大島(こえび隊ツアー) 2019.7

春会期を楽しんだ瀬戸芸ですが、せっかくの3シーズンパスポートなので、やっぱり夏も行こう!と計画を立てました。 今回のテーマは「初めての島へ」

2013、2016年通して、まだ行ったことがなく、行ってみたかった 小豆島、大島を訪ねることにしました。小豆島は大きい島だし、一度やってみたかった島ステイ!と意気込んだのですが宿が混んでいて、取れたのは一泊のみ…その後は高松泊。

一日目:大島 小豆島

二日目:小豆島

三日目:なりゆき

物足りなかったら三日目も小豆島でもいいし、または、最初に小豆島に渡ってまる二日滞在して三日目に大島でもいいし… などと迷いながら大まかな予定だけ決めて出発。結局、まずは大島に渡りました。

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高松港からフェリーは無料

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港からの眺め

フェリーを降りて、静かだ、と思いました。港に来ていた何台かの車のナンバープレートには番号ではなく「福祉」という文字。

大島は、他の島とは違う背景を持っています。

島全体が『国立療養所大島青松園』という国立ハンセン病療養所なのです。

島は静かだ、と思いました、最初は。朝早くてまだ、瀬戸芸のインフォメーションも開いてなかったし。うだるような暑さの中、まずは、こえび隊(瀬戸芸のボランティアスタッフ)の大島案内ツアーに参加しよう、と集合場所の社会福祉会館に向かったら、ずっと音楽が流れているのが聞こえてきて。ほら、島内放送みたいなの。『ふるさと』と『乙女の祈り』でした。今のフェリーで着いた瀬戸芸のゲストが歩く中、他には人の気配はなく、スピーカーからずっと流れる音楽…何とも非日常的な…と思いながら社会福祉会館に。とても新しいきれいな建物でした。中に入って、ハンセン病とは、大島の歴史、などの展示を見ました。あと、回復者さんたちの作品など。一応、ハンセン病の歴史、また、以前ドキュメント番組なんかで大島の歴史も知っていたのですが、目の前に突きつけられると、一言では言えない、辛い気持ちになりました。

入口に集合して、大島を巡る、歴史を知るツアーが始まります。半分くらいは外国人ゲストでした。かつて業病、伝染病(実際は風邪よりも弱い感染力とのこと)、遺伝病との間違った知識から差別され、「らい予防法」により療養所に隔離された患者さんたち。1960年には治療法も確立されていたのにその「らい予防法」が廃止されたのは1996年。現在島にいる方たちは高齢と後遺症の治療のため療養所で暮らしています。そこには、もうすでに帰る場所がないという現実もあります。ハンセン病は完治しているので「回復者さん」「入所者さん」と呼ばれます。現在は平均年齢84歳、53人の方がいらっしゃいます。

そんな説明を聞きながら、まず、納骨堂に向かいます。

島を歩きながら説明が続きます。そこで「流れている音楽は盲導鈴であること」を知りました。他にも、そんな広くもない道路の真ん中に白線が引いてあるのは盲導線で、道に柵があるのは杖で確認するための盲導柵。入所者の方はかつてハンセン病の治療が遅れたたために目の不自由な方が多いので園内(島内)に、盲人の方や弱視の方のために設置されているのです。 島全体が入所者さんのための作り、でもこの環境を整えられる意識の時代までにどれだけの人の苦しみがあったのだろう、と思います。

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納骨堂

納骨堂には、この島で亡くなった方の引き取り手のないご遺骨、が眠っています。中にはこの島に愛着を持ち分骨されたご遺骨も、と聞くと少しほっとしますが、隔離される時点で死亡届を出されたり、家族に迷惑をかけたくない思いから偽名を使う方も多かったという歴史があります、骨になっても故郷へは帰れなかった方たち、その胸中はとても想像できるものではありません。

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納骨堂の向かいにある3つの碑。 納骨堂ができる前までのご遺骨が眠っている南無佛、子孫を残すことが禁じられていたため葬られてしまった胎児のための鎮魂の碑、治療に尽力した小林博士の碑が納骨堂の向かいに建てられています。

次に、宗教施設などをまわり、アートエリアへ。

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島内で四国八十八箇所巡りができるよう建てられた石仏たち

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宗教施設(祈りに希望を見出せたのだろうか…)エリアからの眺め

瀬戸芸が担ってきた役割や作品の背景と、最後に、解剖台の説明を聞きます。解剖台、以前、ドキュメント番組で見たのは、このエピソードでした。

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島に来た時点で解剖の承諾書にサインをさせられたそうです。建物の解体のときに海に捨てられていた解剖台が瀬戸芸前に浜辺に打ち上げられ、公開が決まりました。

見ることが辛い負の遺産、何回も周りをぐるぐるしながら近寄って……向き合いました。ハンセン病の歴史も大島の歴史も、頭で知るのとは違って、実際に足を踏み入れてみると、その負の歴史に押し潰されそうになり、結構長い時間引きずりました……。

瀬戸芸が始まる2010年の前の2007年から芸術祭に参加する準備を丁寧に丁寧に始めていて、キュレーターの北川フラムさんも「大島が参加しなければ瀬戸芸は成り立たない」と重要視していて。昼食を取ろうと入った売店の人たちも、そこに来るお客さん(医療従事者の方たち)も明るく普通で、入所者さんはじめこえび隊の人たちも「悲しい思いで帰ってほしくない」と明るく活動をしているのに……訪れるほうがこれじゃだめですね。本当に貴重な体験をしました。また、来よう、と心に刻みました。 

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瀬戸内国際芸術祭2019 沙弥島 2019.5

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沙弥島は春会期のみの会場で、せっかく春に行くのだから行ってみたいな〜と、どんな作品があるのか調べたら、ここ数年気になっていた レオニート・チシコフの作品が! ということで、来島決定。初めての島が新鮮な瀬戸芸リピーターです。

沙弥島は陸続きの島なのでフェリーではなく、バスで向かいます。まずは、高松から予讃線で坂出まで。予讃線快速マリンライナー快速サンポートを利用すると15分くらい。普通だと30分くらいなので、快速で。

駅についたら、瀬戸内国際芸術祭シャトルバスか坂出市営バスで約20分です。シャトルバスの時間に合わせて坂出駅に着いたら、シャトルバスが満員で。電車はそんな混んでる風ではなかったので意外に思いながら満員バスに乗り込んだら係の方が、追加便出します〜。って言ってくれたので次のバスで座っていけることに。瀬戸芸、フェリーの臨時便も素早い判断で出してくれるし、とても助かります。ありがたいです。

もう夏ですか?!ってくらいの暑さと快晴の中、沙弥島に到着。

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沙弥島バス停

インフォメーション、なんていうか、国立公園的な入口、と、思ったら瀬戸大橋記念公園と隣接してるんですね。競技場もあって、とにかくのびのびとした空間で空も広くて 気持ちいいです。暑いけど。

で、早速その瀬戸大橋記念公園内に

『階層・地層・層』 ターニャ・プレミンガー

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『階層・地層・層』ターニャ・プレミンガー

登ると、予想とは違う道に出たりして、子供のような気持ちで、ついはしゃいでしまう。2013年からの継続展示で最初は土だけの丘だったそう。月日を経て緑に覆われてます。これからも変化していくのだろうな……楽しみです。

西ノ浜を基点にその先の万葉会館、反対側の旧沙弥小・中学校へと向かいます。

てくてく歩いているとインフォメーションでも宣伝してた、島めしのポスター。

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発売時間に間に合ったので今日のお昼はこれで。

海水浴場なので売店もあり、食事に困ることはなさそう……そこらへんはやっぱり陸続きだからでしょうか。そらあみを横目にお弁当の列に並んで購入しました。

『そらあみ〈島巡り〉』 五十嵐靖晃

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『そらあみ〈島巡り〉』五十嵐靖晃

は、よくメディアにも取り上げられている瀬戸芸を象徴する作品、のような気がする。絵になるし、漁網ってとこも。瀬戸芸2019年のために新たに編まれて、今回は、秋会期に本島でも展示があります。浜辺沿いに眺めて、風になびいて、動きがあってとてもおもしろく美しいです。

浜沿いを歩いて万葉会館へ、いわゆる公民館?沙弥島は柿本人麻呂にゆかりがあるのですね。こちらでの作品は2つ。

『大岩島2』 大岩オスカール

大岩さんの作品は男木島にもあってそちらもおもしろかった。

一つの部屋の中にエアドームが作られていて、描かれた扉から入ると、360度パノラマで瀬戸内をイメージした風景が描かれています。黒の油性マーカー(150本費やしたそう!)だけで描かれた世界です。靴を脱いでの〜んびりくつろげる感じが瀬戸内の海を眺めるのんびりさと通じているかも。2016年には小豆島での展示だったそう。

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描かれた扉

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パノラマで撮ってみた一部。浜辺。

『12島と港の物語・回遊式アニメーション』 蓮沼昌宏

「キノーラ」という取っ手を回してパラパラ漫画のように鑑賞できる古典的なアニメーション装置。島に伝わる昔話や文化、自然などの要素をもとに、作られたそれぞれの島の物語です。こちらも2016年には沙弥島、宇野港、本島で展示されていたそう。

結構、島を渡り歩いている作品がありますね。

万葉会館を後にして次はナカンダ浜方面へ。

浜の手前の旧沙弥小中学校、いよいよレオニート・チシコフだ!と思ったらその前にシーソーが3台。

『ピボット』 マデライン・フリン+ティム・ハンフリー

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私が乗ったシーソー

AIで真ん中のスピーカーから話しかけられます。私が乗ったのは中国語でした。シーソーに乗るなんて何年ぶりかしら?

校舎内に入り、いくつかある展示の最後がレオニート・チシコフでした。

レオニート・チシコフ

現代ロシア美術を代表するアーティスト、イラストレーター。 1953年、ウラル山脈の村で生まれ、医大在学中にユーゴスラヴィアの国際風刺画コンテストで金賞を受賞し、画家となることを決意。 やがて活躍の場を広げ、現在はパンやマカロニ、古着、角砂糖などの身近な素材を使ったオブジェで知られるアーティスト。2003年からは、月のオブジェを世界各地で撮影するアート・プロジェクト「僕の月」にとりくんでおり、多数の児童文学に挿し絵も描いている。モスクワ在住

『月と塩をめぐる3つの作品』 レオニート・チシコフ

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月の船 柿本人麻呂へのオマージュ

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本棚の中の月と太陽

学校の無機質な空間の中に現れたロマンチックなモチーフ。

満足行くまで鑑賞して(暑かった〜)外に出て浜に向かいます。浜では船を作っていました。これも作品で、春会期に制作、夏会期に(船としての)検査や登録などの事務手続き、秋会期に出航、という作品なのだそう。 トンカントンカン作っているのに「登っていいですよ〜」などと言われるので登って鑑賞しました。

『ヨタの漂う鬼の家』 YOTTA

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船、制作中

作品巡りを無事終えて、浜辺で海を見ながらの島ごはん!で休憩です。今日の島ごはんは

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チヌめし

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タコの天ぷら(バランス悪いからさきっちょ噛った、もっと大きかった)

豪華〜!おいしかったです。

休憩後、瀬戸大橋記念公園を散歩して高松に戻りました。旅も終わりです。あ〜楽しかった。

追記:沙弥島、毛虫に注意、です。

瀬戸内国際芸術祭2019 直島 2019.5

直島は、2016年のとき、犬島へ行くときに経由して、戻りのときに少し時間があったので李禹煥美術館だけ寄りました。

瀬戸内アートの旅といえば直島!な代表的な島ですが、芸術祭ができる前に行って、地中美術館、ベネッセハウスミュージアム、家プロジェクトをまわっていたので、何となく後回しになってしまいました。

調べたらそのときは2007年、12年前?!だいぶ町並み(しまなみ?)も変化があったろうとあらためて行ってみました。

高松港からはフェリーで1時間ほど。待合のお客さんの多さに怯みますが、大きな船なので座席もたっぷり、窓の景色も楽しめて快適な船旅です。客席までの移動にはエレベーターもあります。

今までも、島へ行く前は、お昼を食べそびれたときのために高松のコンビニで飲食物を調達していて今回もそうしたのですが、直島、コンビニありました!知らなかった〜!さすが。

今回は、宮ノ浦と本村をまわりました。

8時12分のフェリーで宮浦港に9時到着、まずは、

『赤かぼちゃ』草間彌生

直島といえばこれですよね〜。

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赤かぼちゃの中から

ちなみに黄色の『南瓜』はベネッセミュージアムの方にあります。

初めて近づいてみました……。

なぜかというと、私はいわゆる集合体恐怖の気があって……。草間作品はだいぶ見慣れたので今回は近寄ってみようかと……。

中に入ってからの港の眺めも素敵。勇気を出してよかった。ただ、赤かぼちゃはまだ大丈夫だけど、黄色の『南瓜』はやっぱり苦手……模様が。

『BUNRAKU PUPPET』ジョゼ・デ・ギマランイス

『直島パヴィリオン』藤本壮介

など他の屋外の作品を楽しんでからかぼちゃ柄のバスに乗って本村に移動〜。

混み具合もありますが早ければ10分くらいで農協前というバス停に。

バスを降りると近くに本村ラウンジ&アーカイブというインフォメーションがあって便利です。 グッズが買えたり(私はお土産に大竹伸朗ガチャをやりました)小休憩できたり。 パスポート持ってたらあまり関係ないけど、家プロジェクトのチケット販売もこちらで。

さて、どうまわろうか?しかし、12年前に来たときと全然印象が違う、とボーッとしてたら 交差点に常駐してるガイドの方(交通整理もかも、道が狭くて人が多くて、バスも来るから)に

「どこに行くの?(道わかる?な感じ)」と心配されたので

「いや、ノープランで〜」って言ったら

「じゃあ、まず『南寺』の整理券をもらってきなさい。たぶんまだ大丈夫だから。それから他をまわるといいよ」って

おすすめされたのでお礼を言って『南寺』に。

整理券をもらったら「13:45」の回の整理券でした。わ〜。確かまだ9時台だったので、ちょうどよかった〜。ガイドさんに感謝です。

家プロジェクト

『角屋』宮島達男

護王神社杉本博司

『碁会所』須田悦弘

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護王神社

この、町並みを歩きながらまわるの、なんともたまらない。

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しかし、もう夏ですか?という暑さの中、とても心地よかったのが

『The Naoshima Plan 2019 「水」』三分一博志

今年の新作です。昨年まで使われていた旧家を利用した作品。

井戸があって、風が通って、とても気持ちいい……。ずっといたい。 お家も、中庭もあって素敵でした。いいな、昔のしつらえ。

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外観

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涼を楽しむ

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渾渾と湧く井戸

その後公園(『南寺』の隣)でお昼を食べて、いざ

『南寺』ジェームズ・タレル (設計:安藤忠雄

へ。

同行者の人に「確か好きなタイミングで出られたと思うよ〜」とのんきに言っていたのですが 並んでて気づいた、それ『地中美術館』のジェームズ・タレルだ。 これちょっと時間がかかるし、暗いから怖い人もいるかも、だ。 と、心配していたのですが……。結果はみな楽しめてほっとしました。

ジェームズ・タレルの作品は言葉で説明するのは難しい……。

『南寺』は、なんというか無になっていろんなことに気づく作品だなと思います。

次に同じく家プロジェクトの

『はいしゃ』大竹伸朗

ここ、12年前に来たときと周りの景色も全然違う記憶なのだけど。

もっと、周りに何もなくてぽつんとあって、中にも入れなかったし。違う作品だったのかな……。写真とか残ってないので何とも。でも大竹伸朗好きなので中に入ってじっくり楽しめてうれしい。

一通りまわってから再びバスで宮ノ浦へ。バスも混んでるので積み残されちゃ大変と早めに移動です。

港についたらフェリーまで1時間位あったので……。

『直島銭湯「I♥湯」』大竹伸朗

に初めて入ってみました!

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直島銭湯「I♥湯」

銭湯が作品になっているのだけど入浴もできるのです。 いつも外観みるだけでしたが、ついに! 楽しかった〜。「I♥湯」タオルも買っちゃった。

疲れと汗を流して、最終のフェリーで高松へ戻ります。

来るたびに変化があって楽しい直島でした。

瀬戸内国際芸術祭2019 女木島 2019.5

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『女根』大竹伸朗

女木島は高松港から近く、半日くらいで十分回れるので到着日や出発日などに行くことが多いです。 初めて行った2013年の旅も女木島からスタートしました。

10時のフェリーに乗れれば足を伸ばして男木島、女木島、とまわれるな〜とは思ったのですが、ギリギリ間に合いそうになく、パスポートの引き換えや荷物預けなどもあるので 12時のフェリーで女木島だけにしました。

島巡りはのんびりと、無理しない。

なのでそれまで、こちらを鑑賞。

『高松松平家博物図譜 江戸の超グラフィック 自然に挑む』香川県ミュージアム

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フォトスポット

芸術祭会期中は周辺の美術館でも瀬戸内アートネットワークとして、パスポート提示で割引してもらえます。

香川県指定有形文化財「高松松平家博物図譜」の公開。魚、鳥、植物の観察具合と、工夫を重ねた表現方法が素晴らしいです。

見入っていたらあっという間にフェリーの時間、で、12時のフェリーで女木島へ。高松から女木島までは約20分。

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『カモメの駐車場』木村崇人 がお出迎え

作品は主に女木港周辺と山の上の鬼ヶ島大洞窟。

洞窟のオニノコ瓦プロジェクトに入替えがあったみたいなので6年ぶりに洞窟へ。

洞窟へはバスが出ています。フェリーが着いたらすぐ出るので、

洞窟、展望台→バスで港に戻って港周辺鑑賞が個人的にはおすすめです。逆でもいいけど、戻りのバスで、途中『段々の風』などの作品付近で降りて散策しながら戻るのが可能なので。

オニノコ瓦プロジェクトは間が空きすぎたのかどんな感じで変わったのかよくわからず……。作品も少ないような。純粋に洞窟を楽しんでもいいかも、とにかく涼しいし。係の方に写真撮ってもらえるし。あと、展望台の眺めが最高です!毎回来てよかったな〜!と思います。(売店がクローズなのは寂しかった……)

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さて、港に戻ってきて港周辺の作品鑑賞です。

今回は新作の『島の中の小さなお店』プロジェクトでたくさんの作品があるのが楽しみ。

『ランドリー』レアンドロ・エルリッヒ

洗濯機の中で回っている洗濯物、映像です。永遠に洗われている洗濯物。そして振り向くと本物の洗濯機と乾燥機。こちらは実際に使えます。使わなかったけど。殺風景で清潔な空間にはカゴや棚も。レアンドロ・エルリッヒ独特の不思議な空間。

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映像の洗濯物がぐるぐる……

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振り返ると本物のランドリー

『ピンポン・シー』原倫太郎+原游

でピンポンもやってみた。中庭のある開けた空間、元は何の建物だったのか?と調べたら元民宿のピロティでした。

海辺の神社の境内にあるのは

『BONSAI deepening roots』平尾成志×瀬ト内工芸ズ。

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見事な黒松

今回は「根づく」をテーマにした盆栽作品。 参加型の作品もありました。古い家屋を活用したおもしろい盆栽。育てるだけでも大変なのに、すごいな。香川県はもともと盆栽の一大産地なんだそうです。

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気持ち良い浜辺を散策しながら、こちらも新作の

家船(えぶね)』KOURYOU

へ。

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外観

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屋内

『古代から近世まで、東アジア一帯には家族で船で暮らし、一定の海域を移動し、海上生活を送る人たちがいた。漁業を営み生活した船を、瀬戸内海では「えぶね」と呼んだ』というエピソードから古民家を家船として作品に。

遠い昔のここでの暮らし、いやもしかしたらついこの間まで?と錯覚するような家族の営みの跡が作品になっています。おもしろいけど少し怖いような感覚。

無事、すべての作品をまわって、最終のフェリーで高松へ。

最終フェリーの前には作品の展示はすべて閉まってスタッフのみなさんも港へ急ぎます。(なので混みますよ!フェリー)

みんなの一体感というか手作りイベント感というか……になんか懐かしい気持ちになります。夕日を観ながら帰るというのも影響してるのかな。 

瀬戸内国際芸術祭2019 プロローグ 2019.5

旅先で美術館に行く、から美術館目当てに旅をする、というのもいいんじゃないか、と思ったきっかけは何だったか……。あれかな、鳥取植田正治写真美術館に行こう!と思い立ったときかな。

どうやって旅行の計画を立てようか?と検索したら地方の美術館を巡っている人のブログがポチポチとあって、それらの情報がとても参考になったのと、ちょうど、その前の年に瀬戸内国際芸術祭の旅程を考えてたときに前回行ったときの自分のメモ(手書き)が残ってたのがとても役立ったので、ちゃんと記録を取っておこう!とブログも始めたんでした……。

前置きが長くなりましたが、行ってきました!『瀬戸内国際芸術祭2019』

過去に2013年は夏、2016年は秋、と巡ってきて初の春。今回は3シーズンパスポートができたので、できれば全シーズン行きたいな〜と夢も膨らみます。

今回の計画はまず、

1:日程を決める。

会期中も島、美術館にお休みがあるので、その日は避ける。

2:宿と交通の確保。

まだ、どの島に行くか決めてなかったので融通がきく高松ステイ。島の滞在時間、そのための船の時間から逆算して、空港から港への移動も考えたフライト。

3:行く島とその旅程をくわしく。

絶対観たい作品、行きたい島から優先的に計画を立てる。

という順で。

計画を立て始めたときにまだ、公式ガイドブックも手元になかったので、まず、ホテルと飛行機は確保した、という感じです。そして、ガイドブックを熟読して

女木島のレアンドロ・エルリッヒの新作

沙弥島のレオニート・チシコフ

がお目当てになりました。沙弥島は春会期のみだし、この機会に行ってみたいし。

1日目:女木島

2日目:直島

3日目:沙弥島

の予定で旅のスタートです!

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高松港

 

ムンク展ー共鳴する魂の叫び 東京都美術館 2018.11

 

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有名な叫びを観たいというのもあったけど、ムンクをきちんと鑑賞したことがないな〜と思って。そして、きっと混むだろうから、と前売り券も買って早めに行こうと平日の昼間に行ってみたら、入場20分待ちだった……。

ちょっとひるんだけど中は広いので入ってしまえば普通に鑑賞できました。なんだ〜。入場待ちだと「出直すか」って踵を返すことが多かったけど今後は気をつけよう……。

若い頃の作品から晩年まで。9つの章に分かれての展示です。幼い頃から家族を亡くしたりそのせいなのか神経症になったりと(第2章 家族ー死と喪失、第4章 魂の叫びー不安と絶望)その境遇につらいな〜と思いながら観ていたのだけど、ムンクはちゃんと売れた画描きだったのね(第8章 躍動する風景)なんか、よかった、ほっとした。晩年は“鮮やかな色彩と軽いタッチによる平面的で明るい画面の作風”(第9章 画家の晩年)と言われているけど、色やタッチは関係なく画から感じられる「重さ」はどの時代にもずっと存在しているように思いました。

「叫び」は1910年のテンペラ・油彩画でした。前列で観たい人と後ろからでもいい人とでルートを分けていて(バベルの塔のときみたい)スムースに観れるようになっていました。これが入場待ちになっても中はそれほどでもなかった理由かな?

印象に残った作品は……メモしてたのだけど年末の掃除でしまいこんでしまったので…… 記憶を頼りに(気が向いたら付け足すかも)

第2章 家族ー死と喪失

・「病める子」など 暗いテーマのこの時代、横顔が多いのも理由があるのか……

第3章 夏の夜ー孤独と憂鬱

・「夏の夜、人魚」など

海、フィヨルド、月の光、などをモチーフとした独特の世界観がどの作品も好みでした。

特徴的な、水面に映る月の描写って漫画「ハチミツとクローバー」ではぐちゃんが月見うどん食べたくなったやつだよね〜?などと思いだしたのも楽しかった。

第5章 接吻、吸血鬼、マドンナ

・「接吻」

・「吸血鬼」

・「マドンナ」

「叫び」に次ぐ代表作ですが、こっちの方が好き。 同じモチーフで版画、油彩と揃っていました。同じモチーフや構図にこだわる姿勢が好きです。何度も出てくる月の描写も含め。

画像は都美術館ロビーにあった映像。移り変わっていく様子がおもしろかったです。

 

ヨルク・シュマイサー 終わりなき旅 町田市立国際版画美術館 2018.11

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浮世絵好きとしては気になっていたのだけど、何気に遠いのでなかなか足を運ぶきっかけがなかった、町田市立国際版画美術館。ヨルク・シュマイサー展の評判が良いのでこれはいいきっかけと、初めて行ってきました。

ドイツに生まれ学び、日本で学び、オーストラリアに辿り着き生涯を閉じた版画家。オーストラリアに拠点を持ってからも、中国やカンボジア、果ては南極まで旅をして作品を作り続けて。まさに旅する版画家。

どの作品も本当によかった。写真撮影可だったので色々撮ってみましたが、照明とか入っちゃうし、難しいですね。

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日本に留学中の作品。他の作品に比べると粗野な感じ。そこがいい。

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清水寺の春夏秋冬の作品(すべて同じアングル)があって、これは「夏」。4つの中で一番好きだな〜と思ったもの。この縦線は雨?もしくは蝉時雨?などと想像力を掻き立てられました。

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一緒に旅した道具たち。

そして

「シュマイサーが訪ねた地」ー作品に描かれた地を知る方々に、展示作品を前にお話いただきます。というギャラリートークがあって、参加してみました。

この日は、「オーストラリア・アーネムランド」 窪田幸子氏(神戸大学教授)でした。アボリジニーの研究をされている文化人類学者の方でとても魅力的な方でした。お話もとてもおもしろくて。実際にシュマイサーの制作の映像も見れて貴重な体験でした。世の中には自分の知らないことがまだまだたくさんあるな〜と興奮してしまった。本当に楽しい時間でした。参加してよかった。

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ギリシャの詩人カヴァフィスの詩「イタケー」より。 シュマイサーが愛した詩だそうです。

町田市立国際版画美術館、公園の中で、噴水もあって、お気に入りの美術館になりました。

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